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ポジティブ・アレルギー

物事を顧みず、ひたすら自身にとって都合の良い部分だけを見て突き進まなければならない、ポジティブ社会への拒絶反応

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都構想という大規模開発・改装計画に投資すべきか否か、という視点

どうも世間一般では、都構想に賛成することは無駄を省くことであり、それに反対することは無駄づかいを続けることである、みたいな見方をしている人が多かったように思う。

しかし実際に大阪にいてこの問題を見ていた者からすると、むしろ逆に見えていた人も多かったんじゃないだろうか。というのも都構想というのは実際のところ大規模開発計画とセットになったものだったからだ。

それも含め、維新の会の「広域マニフェスト」と「都構想の Q&A」を投資のお誘いとみなし、それが一つの投資案件としてどうだったか、という視点から都構想を振り返ってみようと思う。

<目次>
(1)大規模開発事業について
(2)二重行政の解消について
(3)住民サービスについて
(4)税収の委譲と分配
(5)改装コストについて
(6)この投資のお誘いに乗るべきか否か
---------------------------------------------

▼(1)大規模開発事業について

広域マニフェスト - 大阪維新の会

大阪都構想に関する「広域マニフェスト」には以下のような大規模開発事業が含まれている。

「万博の実施(2025年)」
「カジノを含むIR誘致」
「4つの鉄道建設を進めます。」
「高速道路淀川左岸線を建設します。」
「国に強力に働きかけ、リニア中央新幹線の 大阪まで同時開業を実現します」

このマニフェストには書かれていないが、事業費は以下の額が見込まれている。

 ★まず万博。ハッキリとは分からないが愛知万博の総事業費は3,800億円だった。

 ★次にカジノ関連。

夢洲カジノ誘致 大阪府市が鉄道整備計画案を協議 橋下 ... - 産経ニュース

カジノ誘致のために地下鉄中央線の延伸が必要であり、案によって地下鉄中央線の延伸案~約540億円、JR桜島線の延伸案~約1700億円、京阪中之島線の中之島駅から夢洲駅まで延伸する案~約3500億円のどれかが採用される(橋下市長は「都市戦略上はJR桜島線の延伸を目指すべきだ」と述べた)。


 ★次に鉄道関連。

PowerPointファイル/2MB - 大阪府

上記資料によると、なにわ筋線が約1,800億円~約3,200億円、西梅田十三連絡線が1,350億円、北大阪急行線延伸事業が650億円(そのうち府は100億円で他は箕面市や国など)、大阪モノレール延伸が1,050億円となっている。

後者の二つはともかく、なにわ筋線と西梅田十三連絡線は効果が薄いのではないかと疑問視されている。もちろん効果があるとする説もあるが、橋下氏以外の政治家がこれの建設を主張すれば、財政が厳しいのにこんな無駄づかいはすべきではない、と言われそうな案件だ。

 ★高速道路淀川左岸線建設

淀川左岸線 - 阪神高速道路

4,320億円が見込まれている。

 ★最後にリニア。

新成長戦略:リニア中央新幹線 大阪延伸前倒しを明記へ - 毎日 ... - 毎日jp

名古屋-大阪間の事業費は約3兆6000億円にのぼる。政府内には、無利子融資の場合、国費支援は総額1000億円規模になるとの試算がある上、今後、金利が上昇すれば支援額が膨れ上がる可能性がある。

府や市がどれくらい負担するかは分からないが、巨額の費用が掛かることだけは間違いない。

<まとめ>

○万博 ?(3,800億円―愛知万博の参考例)
○カジノ関連 約540億円~約3500億円
○鉄道関連
・なにわ筋線 約1,800億円~約3,200億円
・西梅田十三連絡線 約1,350億円
・北大阪急行線延伸事業 約600億(府は100億円。他は箕面市や国など)
・大阪モノレール延伸 1,050億円
○高速道路淀川左岸線建設 4,320億円
○リニア ?(名古屋-大阪間の事業費は約3兆6000億円。負担は不明)

橋下氏激白 「大阪五輪」都構想実現すればできる! - スポニチ Sponichi

今までは府市それぞれ中途半端な役所組織が誘致し失敗したり、足を引っ張り合っていたのが大阪都に一本化し、五輪誘致も可能になると思う。大阪市だけで五輪誘致をやったが世界には通用しなかった。大阪都にしてやっぱり大阪五輪やらなきゃ。

これらに加えオリンピックの誘致も視野に入れられていたようだ。もちろんそれをしようとするならさらなる資金が必要になる。

▼(2)二重行政の解消について

一方、二重行政の解消にとして「広域マニフェスト」で具体的に挙げられているのは以下の通り。

「大阪市営地下鉄を民営化する。 ~初期効果約33億円、継続効果165億円/年。株は特別区所有」「大阪市営バスを民営化する。~9年連続赤字経営からの脱却」「大阪市立大学と大阪府立大学を統合する」「大阪市民病院機構と大阪府立病院機構を統合する。~初期効果約17億円、継続効果約34億3400万円/年。」「大阪市立環境科学研究所と府立公衆衛生研究所を統合する。~継続効果約1億4800万円/年。」「大阪市立工業研究所と府立産業技術総合研究所を統合する。」「域一元化による合理化で消防費総額を低減~初期効果約6800万円、継続効果約7600万円。先進」

二重行政解消の効果については1億円だとか39億円だとかの説もあるが、ここではとりあえず維新の主張をそのまま鵜呑みにして具体的に上げられている数値を全て合算してみると、しめて252億7400万になる。

都構想の Q&A - 大阪維新の会

Q.効果額は本当に1億円しかないの?

都構想の実現で使えるお金は、平成45年度までには1億円どころか4000億円以上になります。効果額は1億円しかないとの主張がなされていますが、この4000億という数字は役所が行った正式な試算結果です。さらに、経済効果額は数兆円と言われています。

Q.橋下市長、松井知事は、都構想の効果額として、当初、4,000億円ほど生み出せると主張していたが、効果額は殆どないんじゃないの?

4000億円という効果はあながち間違いではありません。いま示している効果額は行革効果額のみで、これだけでも約2000億円の効果が生まれます。さらに、これまで何兆円とムダに使ってきた二重行政が都構想が実現すれば今後一切なくなることうや、大阪都が実現したことによる経済波及効果を考えると、プラスの効果額は計り知れません。
大阪都構想の大目標は、現在の府市の体制による二重行政、府市の意思決定の不統一を解消することです。
府市の役割分担の明確化により成長戦略の推進など広域行政が府に一元化され、迅速かつ効果的に実施されます。このように広域行政のマネジメントが一元化されれば更なる効果が発現します。

維新は都構想によって使えるお金が4000億円増えるとしているが、残りの3747億2600万の具体的根拠は示されていない。そもそも上に挙げられた252億7400万には「継続的効果」が含まれているので使えるお金が増えるというのと整合性が合わないような気もするし、全く別の話なのかもしれない。

何にせよ「役所が正式に作成したもの」というなら、その資料へのリンクぐらい貼って欲しかったところ。根拠が挙げられていないと検証すらできないのだから。それ以前に、役所の計算がいい加減だということを言い続けてきた維新が具体的な内容ではなく役所を正当性の担保にするのは違和感があるし、4000億円の効果があると主張している当事者が「あながち間違いではありません」という言い回しを使うのもかなり奇妙に映る。

「経済効果額は数兆円と言われています。」というのはまあ、阪神タイガースが優勝すれば経済効果700億円、とかそんな感じの話と見ておけばよいのか。

それより府立大と市立大の統合を目指しながら「国内外大学の大阪への誘致」というのはどうもちぐはぐで釈然としない。

▼(3)住民サービスについて

今回の住民投票では住民サービスを既得権益とみなし、それを守ろうとする都構想反対派と打破しようとする賛成派、というような構図で話を進める人が多かった。ではこの都構想という「改革」でどのような住民サービスが削減される予定だったのだろうか。

都構想の Q&A - 大阪維新の会

Q.都構想で住民サービスは良くなるの、悪くなるの?

現在は住民サービスを担う組織は市役所に1つしかありませんが、都構想で5つに増えます。 例えば現在は1つの教育委員会で500校もの小中学校を所管しているので、全く現場を見られていません。児童相談所も1つしかなく対応不可能な状態です。その結果、大阪市は、いじめ、体罰、児童虐待などが全国ワーストです。同様に現在は、子育て世帯を支援する子ども青少年局も1つ、高齢者の皆さんをサポートする福祉局も1つ、働く現役世代をサポートする経済戦略局も1つで260万人へ住民サービスを行っており、全く足りていません。
都構想になると、各区にこれらの組織が設置されて5つに増えるので、子育て世代、現役世代、高齢者の支援など、医療・福祉・教育サービスが格段に強化されます。


大阪都構想 二重行政のムダをなくす。豊かな大阪をつくる。 - 大阪維新の会

都構想で住民サービスは上がります。都構想「否決」で住民サービスは下がります。

しかしどこを見てもこの住民サービスを無駄とみなして削ります、みたいなことは一切書かれていない。むしろ否決されると住民サービスは下げられるらしい。どのようにそれが下げられるのかまでは書いていないのでよく分からないが。

都構想の Q&A - 大阪維新の会

Q.敬老パス有料化、住吉市民病院廃止、スポーツセンター・プール統廃合など、都構想が実現すると住民サービスが低下するの?

敬老パスの有料化やスポーツセンター・プールの統廃合については、現在も、市政改革プランに基づき、取り組まれています。
敬老パスは持続可能な制度として維持するため、プール等の施設は利用実態等をふまえて適正配置するもので、いずれも最適な住民サービスを提供するために必要な改革です。

敬老パスが廃止されるのを恐れて老人達が都構想に反対した、みたいな説を吹聴して回る人もよく見かけたが、むしろ都構想ではそれを持続すると説明されている。

もちろん橋下氏は「敬老パス制度を維持します」と言って当選したにもかかわらずそれを有料化したという前例があるのでさらなる切り下げを疑った人もいるだろうが、むしろそんなに敬老パスが駄目なら、「敬老パス制度を維持します」という公約を掲げていた橋下氏や、それを持続させるとしている維新に批判が集まってもよさそうなものだが、そうはなっていないのが不思議な話だ。

結局のところ、どうも都構想が実施されると無駄を省くために住民サービスが削られるというのはむしろ反対派の主張だったようだ。つまり既得権益VS(無駄な住民サービスを削る)改革派という構図で都構想を見ていた人達は、維新の公約よりもむしろ反対派の主張の方を信じ、それに依拠して反対派を非難していたことになる。

▼(4)税収の委譲と分配

しかし実際のところ、この案は市内に住む人達にはとっては以下のような財政的デメリットを抱えたものでもあった。

(大阪都構想1分ガイド)特別区の税収 どれくらい?:朝日新聞デジタル

2015年度に大阪市が税金で得られる収入の見込みは6397億円で、歳入の4割弱を占める。大阪都構想で大阪市がなくなると、所得に基づく個人市民税、軽自動車税、市たばこ税の計1728億円が五つの特別区に回る。

 残りは企業に課される法人市民税や事業所税、土地・家屋に課される固定資産税、都市計画税の計4669億円で、府がまとめて徴収することになる。これは、大阪市から府に移る広域行政の経費となるほか、特別区によって歳入に差が出ないように調整する財源とするためだ。

 特別区が直接得られる税収は現在の大阪市と比べて4分の1程度になるため、市議会では「自主財源が乏しすぎる」という指摘が出ている。

これによって市から府に吸い上げられる4669億程度の歳入がどこにどのように分配されるかは明らかになっておらず、実際に実施されてみないと分からない。「特別区によって歳入に差が出ないように調整する」とは言っているものの、それが「広域行政の経費」にもなるわけだから、その全てが特別区(市内)に分配されるなんてことはまずないだろう。先の項目で維新は住民サービスが低下することはないと言っていたが、財源が減ってそれがそのまま維持されたり拡充されたりすると考えるのはちょっと難しい。

つまるところこの案は、大阪市民の住民サービスは削られるがどこがどのように削られるかは分からない、というあやふやさを持ったものであったことが読み取れる。このことが既得権益VS改革派という構図を作り出す一つの原因になったのかもしれない。

しかしこれは無駄を削るというより、市内における歳入の偏りの調整をすべきか否か、もしくは市内の利益を市外へ分配すべきか否かの話だ。なのでここから既得権益VS無駄を削る改革派という対立軸を見出すのは無理があるように思う。

ただし、「市内における歳入の偏りの調整」という観点から見るなら、権益を守る反対派側と権益の分配を望む賛成派という見方ならできなくもない。しかしながらこの見方も、大阪市内全体のパイは減るわけだから、分配を望む賛成派というのはやはり余りシックリこないように思う。大阪市民全員を既得権益者とみなし、その権益を他に分配するか否かを争うものだった、と考えればその構図も成立し得るのだが。しかしこの住民投票はあくまで市民限定のものだったわけで、それはそれでまた妙なものとなる。

▼(5)改装コストについて

都構想の Q&A - 大阪維新の会

初期投資が600億円かかるって聞いたけど?

住民サービス強化のために使われるお金です。現在は住民サービスを担う組織は市役所に1つしかありませんが、都構想で5つに増えるため、格段に住民サービスが向上します(上のQAを参照)。この初期投資600億円はそのために使われるお金です。しかも都構想で4000億以上のお金が使えるようになるので(上のQAを参照)、初期投資をさし引いても十分なおつりが来ます。したがって、もちろん税金や公共料金が上がることもありません。

Q.800億円の初期費用と大阪市を解体するリスクを負ってまで、得られるメリットは何があるの?

長期財政推計により、初期費用が発生しても、各特別区の財政収支が成り立つことは証明されています。初期費用については、一時に負担が発生しないように平準化されるような仕組みになっており、プラスの再編効果で十分カバーできる仕組みになっています。特別区が設置されても大阪市のコミュニティがなくなるわけではありません。市役所の仕組みを一から作り直すだけです。
府市で担ってきた広域機能を都に一元化し、二重行政を解消するものです。府市の意思決定が統一され、成長戦略、産業政策、インフラ整備などが、選択と集中のもと迅速かつ効果的に進みます。
併せて、特別区を設置し、公選区長・区議会のもと、地域の身近なサービスは住民自らが決定できます。このことにより住民自治が飛躍的に進みます。
これらが都構想の大きなメリットです。

最後に都構想が実施されることによって必要になる大規模開発事業費を除いた改装コストについて。

とりあえず初期費用が800億なのか600億なのかくらいハッキリさせて欲しい(上の二つは同じページに掲載されたもの)が、なんにせよ維新が二重行政の解消によって浮くとして具体的に挙げた数字である252億7400万円を上回っていることだけは確かだ。

▼(6)この投資のお誘いに乗るべきか否か

さて、都構想に関する「広域マニフェスト」とQ&Aという維新によるプレゼンの一部を見てきたが、果たしてこのような内容の投資話に乗るべきだろうか。この都構想という投資話を装飾している橋下氏という人気者や「改革」という肩書きを取っ払っても尚輝き続けるだけの力を、果たしてこの投資話は持っているだろうか。

何が言いたいかと言うと、これらの具体的内容を見ると分かるように、都構想に反対票を投じた人の中にはそれに含まれる大規模開発計画や改装コストを無駄づかいと捉え、それに懸念を抱いて反対に一票を投じたという人も結構いたんじゃないかということ。

少なくとも都構想の内容をちゃんと知っていれば、都構想に賛成することは無駄を省くことであり、それに反対するのは無駄づかいを続けることである、というような単純な見方などできなかったはずだ。むしろ都構想というのは、「緊縮だけじゃだめだ」という文脈で賛成を訴えかけた方がシックリくるような内容を持ったものだった思う。

今回外野で「既得権益を守ろうとする守旧派と未来のためにそれを打破しようとする改革派」という対立構造を当てはめ煽っていた著名人やジャーナリスト、評論家、コンサルなどは、恐らくこういった都構想の内容など全く知らなかったのではないか。それを知っていればそんな無責任な煽り方など出来なかったはずだ。

しかし実際にそれをやってしまっている以上、彼らは「狂人のマネとて大路を走らば即ち狂人なり」の格言通り、「絶対に儲かりますよ(失敗しても私は責任を取りませんけど)」と言って投資話をごり押ししてくる怪しいセールスマンみたいな存在になってしまっていたわけだ。
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Author:後正面
ひきこもりという役割を引き受け
ざるを得なかった一人として
人間について考えてみる。
でも、本当はただの断末魔ブログ。

働けど無職。
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※コメントは記事の内容(主題)に関するもののみ受け付けています。また、明らかに政治活動的な性質を持つ内容のコメントはお控え下さい(そういった性質を持つ発言は、それを許容するような姿勢を持つ一部のブログを除いて、自分のブログで行うものだというのが私の基本的な考え方です)。

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