Win10にアップグレードしたら音飛びやノイズが入るようになった
当初気づいた不具合は――Notion4が起動できない、Windows UpdateでWindows Defenderの定義更新に失敗する、くらいだった。
しかも前者はPresonusから最新バージョンをダウンロードしてインストールし直すことですぐに解決。後者も以下のページを参考にし、パソコンを立ち上げて即座にWindows Defenderを起動し、そこから定義ファイルをアップデートしたら解決した。
日々の備忘録: Windows Defender の定義の更新でエラー その後 解決
そんなわけで、タスクバーがダサくなったり設定画面が無駄にデカかったりエクスプローラーの縁が無駄に幅を取るようになったりと疑問を抱く部分はあるものの、Win7には無かったタスクビューは便利だし、世間的には不人気なフォントもむしろ自分としては好ましく感じるし、これはWin10悪くないんじゃないの、と思い始めた矢先、Reaperでちょっと重いプラグインを立ち上げただけで酷い音飛びとノイズが入ることに気付いた。
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最初にテストした時はとりあえず適当にファイルを読み込んで再生したりHarmorとB2を立ち上げて鳴らしてみたくらいだったのでこの不具合に気付くことができなかった。しかしもう一個B2を立ち上げてオーバーサンプリング設定にし、さらにRematrixを立ち上げた程度でもうアウト。CPU消費は10%にすら届いていなくても症状が出るので、おそらくレイテンシ関連なのだろう。
しかもこれ、Reaperを立ち上げてある程度重いプラグインを立ち上げた状態でfoobar2000など別のアプリでファイルを再生した場合でも起こる。Reaperのオーディオ・デバイス設定画面を開く(――この状態だとReaperは再生できなくなる)と収まるので、どうもReaper側から悪い影響を受けているらしい。
そこでとりあえずReaperをインストールし直してみたところ、だいぶマシにはなったがやはり依然酷い状態。さらにUR28Mのドライバが一つ古いバージョンだったので入れなおしてみたが、これは何の効果もなし。以前UR28MとASIO4ALLのドライバが競合してノイズが乗る症状が出たことがあったが、今回はASIO4ALLも入れていない。
それでネットで色々原因を探っていたら、Native Instrumentsがオーディオ問題を改善するためのかなり詳しい情報を提供しているのを見つけた。
オーディオ処理のためのWindows最適化 | ナレッジベース | サポート
様々な項目があるが、結論から言うと、パフォーマンス・オプションでバックグラウンドサービスを選択し、電源管理で「最小のプロセッサの状態」をデフォルトの5%から80%以上に上げると症状は改善した。特に後者の設定が重要だったらしい。
コントロールパネル->電源オプション->プラン設定の変更->詳細な電源設定の変更

しかし疑問なのは、Win7ではこのような症状は出なかったということ。考えられる可能性としては
・Win7で「最小のプロセッサの状態」項目を変更していたが忘れていて、それがWin10へのアップグレードで変更された
・Win7とWin10で電源管理の挙動が異なり、Win7で以前使用していた時のCPUの使い方をするためにはこのような設定をしなければならなくなった
・Win10はWin7よりレイテンシに関する問題が大きくなった
あたりか。
最初のケースならいいのだが、もし最後のケースが当てはまるならWin10はクソとしか言いようがないしWin7に戻すべきなのだが、さてどうなんだろう。もう面倒くさいのでできるだけ戻したくはないのだが。ロールバック時にパソコンがおかしくなったという話もよく聞くし。
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尚、「最小のプロセッサの状態」をそれぞれ5%,50%,100%に変更した時のクロック周波数をタスクマネージャで見てみると以下のようになった(core i7 4770K 3.50GHz)。
5%↓

50%↓

100%↓

そういえば、以前からずっと気になっていたIzotopeのIris2が$49で投げ売りされていたので買ったが、これが凄まじく重かった。CPU消費だけならBazilleなんかの方がさらに重いが、これの場合、CPUをそれほど消費していなくても「最小のプロセッサ」を100%にしておかないとすぐにノイズ化しだす。それさえなければ間違いなくベストバイだったのだが。
フリーのKontakt用ライブラリVan Houzen Trumpet

Van Houzen Trumpet is available for free download
vi-controlフォーラムの関連スレ
FIXED! -- Freebie: U of I "Van Houzen Trumpet"...
公式デモ
基本的にレガートパッチだが、レガートをオフにすることもできるし、レガートやビブラートの設定を簡単に変更することもできる。
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レガートに関する設定項目。Bypass legatoをオンにするとレガートが無効に。この音源では余り使うことは無いと思うが、Glideをオンにするとポルタメントにもできる。

ビブラートに関する設定項目。ビブラートを始めるタイミングはレガートとそうでない――繋がったフレーズになっていない――場合で其々別個に設定できる(Vibrato Onset Delay)。

本来的な使用方法ではないかもしれないが、Mode selectをSetupにするとポリモードになる。また、コントロールにキーボードのみを用いる設定の他に、キーボードと(エクスプレッション・ペダルなどの)ブレスコントローラを使用する場合、そしてウィンドコントローラを使用する場合の設定が用意されている。

因みにレガートやビブラートは様々な楽器の設定が用意されているので色々試してみるのも面白いかもしれない。
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ダウンロードしたファイルには幾つかのパッチが含まれているが、内容はそれぞれ以下の通り。
UofI.VanHouzenTrumpet.nki
ベロシティでレイヤーをコントロール
UofI.VanHouzenTrumpet_AetFilter.nki
CC#11でレイヤーをコントロール
UofI.VanHouzenTrumpet_AetFilter_ModWhl.nki
CC#1でレイヤーをコントロール
せっかくだから自分もちょっとしたデモを作ってみた。パッチはCC#1でレイヤーをコントロールするものを使用。ストリングスはベルリン・ストリングス。
それとこれは自分の環境だけかもしれないが、これを作っている時、何故か0dBFを超えていないのにプチノイズが入ってしまう現象に突き当たった。例えば最初から再生するとある複数の決まった場所でプチノイズが入るが、途中から再生するとその場所ではプチノイズは入らずまた別の場所にそれが入るといった具合。仕方がないのでMIDIファイルを分割し、其々を別個にステムすることでこの問題を回避した。
何にせよ音源の出来がよいだけに、一度試してみて損はないように思う。
***
尚この音源はKontakt上でウィンド・インストゥルメントに必要なレガート、ポルタメント、ヴィブラートといった奏法を得るためのWIPS(The Wind Instrument Performance Suite)というスクリプトを利用して作成されている。上で挙げた設定項目の画像はこのWIPSによるもの。Kontaktライブラリを作成しようと思っている人は一度これについても調べてみると良いかもしれない。
Trio Broz - Solo Violin ファースト・インプレッション&覚書

vi-controlフォーラムの関連スレッド
FluffyAudio: Trio Broz - Solo Violin - RELEASED - INTRO PRICE until the end of May - 30% SALE on ALL OTHER PRODUCTS!
FluffyAudio: Trio Broz Solo Violin
特徴は
・3マイクポジション
・ビブラート・サステイン、ノンビブラート・サステイン、スピッカート、スタッカート、ピッチカートの5アーティキュレーション
・ノンビブラート・サンプルに人口ビブラートを加えることが可能
・4ダイナミック・レイヤー(サステイン)
・4ラウンド・ロビン(スピッカート、スタッカート、ピッチカート)
・クレッシェンドからデクレッシェンド、もしくはサステインからデクレッシェンドへの切り替えが可能
・トゥルー・(フィンガー)レガート&グリッサンド(ポルタメント)
・ヒューマナイズ・チューニング機能
・オート・レガート・スピード・チェンジ機能
・17種類のIRリバーブ付属
・7つのデフォルト・プリッセットに加え、9つの独自プリセットを保存可能
・DCE(DYNAMIC CONTROL ENGINE)によるスムーズなレイヤー移行
マイナス点は
・わりと早い段階で勝手にボウ・チェンジされてしまうことがある(これはレガート・サンプルからサステイン・サンプルに切り替わる際の副作用で起こる)。
・この種のものとしてはかなりドライな部類に入るが、enbertoneのものほどは輪郭がハッキリしていない。
・ハーモニクス、トレモロ、スル・タスト/ポンティチェロなどの奏法がない(トリルもないがこれはレガートでわりとそれっぽくなる)。
・ポルタメント・スピードが調節できない。
・焼きこみビブラートにもより強いビブラートなどもう少しバリエーションが欲しかった。
・ちょっと音が細い。
・デクレッシェンドの長さの調節が難しい。
・デクレッシェンドを使用することによって切り替わりが不自然になることがある、或いは二つのヴァイオリンが鳴っているような状態になることがある。
といったところか。特にppにおいて音がかすれたりノイズが目立ったりすることがあるが、これは原理的に仕方がないことだと思う。
以下はTrio brozの詳細について。
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Fluffy Audioが新しいソロ・ストリングス音源「Trio Broz」を発表
【追記】後に価格は€119 / $129と発表された。購入したのでファーストインプレッションと操作方法についての記事を書いた。【了】
Fluffy Audio - Sample Libraries for Kontakt and Fluffy Musicians
VI Controlフォーラムの関連スレ
Trio Broz - Solo Strings-New upcoming solo strings library from fluffy audio
上の動画でも紹介されている通り、「Trio Broz」の由来はイタリアの姉弟弦楽トリオ”Trio Broz”が録音に携わっているところから来ている。因みに”Trio Broz”はゴルトベルク変奏曲や弦楽三重奏のための近代・現代作品集といったCDをリリースしているようだ。
音源に関しては、動画を見るとクローズ、ミッド、ファーのマルチマイク方式で、アーティキュレーションはレガート、ノンビブラート、スピッカート、スタッカート、ピッチカートが用意されている。ピッチ・ホイールでクレッシェンド、デクレッシェンドなどのサンプルをモーフィングで切り替えながら鳴らすことができるのが売りっぽい。他にもオート・レガートスピード・コントロール機能やヒューマナイズ・チューニング機能、クロスフェード・カーブのカスタマイズ機能、合成ビブラート機能などがあるらしい。
デモ
これらのデモを聴く限りembertoneのもの以上に良いように聞こえる。Friedlander Violinはビブラートが合成のみなのが辛いところ。
ファスト・レガート・パッセージ
レガートも悪くなさそう。もちろん実際に触ってみないと真価は分からないが、これはembertoneのライバルになることは間違いないだろう。
因みにFriedlander Violinを使ったものとしてはコレが凄く良い。
この曲はピアノの音も良くて最初本物かと思ったが、Piano in Blueを使っているらしい。
***
最後に、冒頭の動画ではタイスの瞑想曲が演奏されていたが、その比較としてGarritanとXsampleでそれが演奏されている動画のリンクを貼っておく。
Garritan Stradivari Violin Demo Songs-Meditation
Jules Massenet's Meditation from Thais (Xsample Chamber Ensemble)
イントロセールでSpitfire AudioのMural Ensemblesを入手
とにかく音の広がりや奥行き感が素晴らしい。ベルリンのWholeパッチを鳴らしながらこれに切り替えると、空間がサッと広がる。
そして上下の(トーン)バランスが凄く良い。ベルリンだとかなり上手くやらないと直ぐに頭でっかちになってしまうが、このライブラリはそういったバランスの取り方で苦労することはない。これは低音がしっかりしているからかもしれない。このどっしりした低音はこのライブラリの魅力の一つだろう。
ただ予めデモを聴いて分かっていたことだが、高音はちょっとシンセ臭い音になる。そこら辺はベルリンの方が勝っているように思う。ストリングスの高音はサンプル音源ではなく生録であってもギジギジしたシンセ臭い音になってしまうことがあるが、ベルリン・ストリングスはその点非常に上手く採れている(ベルリンのそれはツルツルしている感じ)。
好みの問題もあるだろうが、自分としては高音の美しさという点では今のところそれにかなうものはないと思っている。中低音は微妙な感じだが。しかし同じベルリンでも拡張のチェロやコントラバスはわりと評判が良かったりするわけで、どこでそのような違いが出ているのやら。奏法の違いによるものなのか、それともマイクセッティングによるものなのか。
距離に関してはMural Ensemblesはベルリンと比べてかなり遠め。デモなどを聴く限り、元のMuralよりEnsemblesはさらに音が遠くなっているように聞こえる。また編成も元のものよりさらに大きく聞こえる。それから速いフレーズはちょっと苦手かもしれない。
また、これは当たり前のことだが、Wholeパッチなので定位をパートごとに分離させることはできない。例えばヴァイオリンの一番下の方の音を想定して鳴らしても右側の方から音が聞こえてきたりする。しかしその分音の隙間はできにくく、一体感のある音になりやすいように思う。
このライブラリの入手を考えている人はこういったことを予め念頭に入れておいた方がよいだろう。
さて、せっかくなのでこの前紹介したストリングスの聴き比べスレに外野から勝手に参戦してみた。
使用したのはCloseマイクとTreeマイクだけ。EQやリバーブ、コンプといったエフェクトは一切なし。これは例の聞き比べスレに投稿する際の必須条件だが、実際のところこのライブラリの場合そのような条件でも一切困ることはない。むしろこの音源にリバーブをかけるのは勿体無いとさえ言える。マイクだけで十分空間表現ができるわけだから。ミックスで一番むずかしい空間処理で悩まずに済むというのは大きい。
ただしユニゾンになるパートがあるので、それに対処するためにトランスポジション・トリック(ReaPitch)は使用している。また同じパッチを使用する場合も一トラックだけで済ませるのではなく、五つのトラックを立ち上げ其々別個にパッチを鳴らしている。
コントロール・チェンジやオートメーションはさほど書き込んでいない。というのも、それらを沢山書き込まなくとも楽譜を入力しただけで結構それっぽくなったので。
このライブラリの一つの利点はこの手軽さだろう。普通ストリングス音源は楽譜通り打ち込んだだけだとどうしても不自然になりがちで、それを何とかするために鬼のようにコントロール・チェンジやオートメーションを書き込まなければならなかったりするが、このライブラリは普通に打ち込んだだけでも不自然さはそれ程目立たない。もちろんまだコレ一つを打ち込んだだけなので、曲調によってはそうでない場合もあるかもしれないが。
てなわけで、個人的にはこのライブラリは当たりだったと思う。もうちょっと頑張ればCineStringsやCINEMATIC STRINGS 2が買えてしまうし、他にもHollywood Stringsなんかがあるので積極的にはお勧めはしないが、この音色が欲しいけど普通のMuralを買うのは厳しい、アーティキュレーションもそんなに沢山いらない、と言う人には悪くない選択だと思う。空間表現では上に挙げたものよりも上だし。
最後に参考として以前投稿したベルリン・ストリングスを使ったオリジナル曲も上げておく。
こちらもリバーブは一切使用していない。ただマイクはCloseとTreeだけではなく全てのものを使用している。
因みにここで使用しているのはver1だが、このバージョンのレガート・パッチはノートの頭と尻を重ねると前の音がサステインして鳴りっぱなしになるという酷いバグがあったため、それらは使用していない。
ストリングスの聴き比べスレ
Harry Potter Strings Expo 2015!
今現在投稿されているラインナップは以下の通り。
LASS
GPO
Dimension Strings
Kirk Hunter concert strings II
QLSO Gold
HOLLYWOOD STRINGS
リアル・ストリングス
【追記 4/25】
さらに
Mural
Cinematic Strings 2
Berlin Strings
Cinestring
Concert strings 2(Kirk Hunter)
8dio(これは前から投稿されていたが書き忘れていた)
が追加されている。コメント欄からも分かる通り、Muralはオヤジ氏による投稿。【了】
このスレとは関係ないがDimension Stringsとリアル・ストリングス・オーケストラを比較しているものがあり、それがまた中々良いものだったのでせっかくだからそちらも紹介しておく。
Dimension Strings
Writing for strings with Sibelius & Vienna Dimension Strings (Lament by Tormod Tvete Vik)
リアル・ストリングス・オーケストラ
https://soundcloud.com/tormodtv/lament-demo-for-string-orchestra-by-tormod-tvete-vik
流石にリアル・オーケストラと比べると聴き劣ってしまうが、こと音の輪郭のハッキリ度合いに関してはやはりViennaが一番。ソロ・ストリングスに関してはembertoneも負けていないが。とにかく音の輪郭がハッキリしている音源が中々ないのが残念。ただDSは定位がはっきりしている分音に広がりがないのが弱点と言えば弱点か。あとDSはBSTよりも重いという書き込みを見たことがある。
***
ところで前から思っていたのだが、BSTに関してはデモを聴く限りメイン・ライブラリよりExpantionA&Bの方が明らかに音が良いように聞こえる。
[BST] EXPansion A: Special Bows I - YouTube
以下のスレに拡張のみを作った音源が投稿されているが、これがまた凄く良い。
Just picked up OT Berlin Strings Exp B - Wow
特にExp Bは評判が良く、チェロ・アンサンブルの音源で初めて納得のいく音に出会った(意訳)、みたいなことを言う人もいれば、コントラバスのスル・タストは大抵の場合においてメイン・ライブラリのパッチよりも役に立つ、という言う人もいる。
実際、メイン・ライブラリは中低音が結構微妙。何故か低音になるほど音がぼやけ、強奏するとブラスみたいな音になってしまったりすることもある(確か以前BSTだけを使用した曲が投稿された際、それを聴いた人が、ブラスは何使ってるの?みたいな質問を投げかけているのを見たような…)。
また、BSTの拡張は他のライブラリと組み合わせて使う場合にも力を発揮するという声もあり、結局のところExp A&Bだけを買ってそれを他のものと組み合わせて使うという選択こそがベストだったのでは、と思ってしまう(ただし、Exp A&Bは早いフレーズには向かないらしいが)。
ただ、Orchestral toolsライブラリは共通して持っている問題が一つある。その問題とは、Treeマイクの音像が横にばかりベッタリ広く、奥行きが余り感じられないところ(逆にストリングスのCloseは遠すぎる)。デモを聴く限り、これは既にリリースされているブラスの拡張(ホルン)に関しても同じだった。
つまりマルチマイク方式でありながらより奥行き感を演出したい場合はリバーブやディレイを使わざるを得ない(もしくは何か奥行きが感じられる他の音源を被せるか)。これがOTライブラリの一つの大きな弱点になっている。奥行きを表現できるマイクがもう一つあったらだいぶ変わってくると思うのだが(サラウンド・マイクは奥行きがあるが、それだけで奥行きを表現するのは少し心もとない。またサラウンド・マイクはストリングスにしか用意されていない)。
そこら辺でSpitfireと差がついてしまっているように思う。まあOTに限らず空間表現という面では今のところSpitfireのものに適うものはないが。
逆にSpitfireはドライ音源としてみると物足りない一方、OTのTeldex Solo Boothで取られたものはそういうものを求めている人もある程度納得できるような渇き具合になっているように思うので、もうちょっとそちらの方に力を入れてもいいのでは、と勝手に思ったりする。
DDMF IIEQ Proがv3.1にアップデート
v3の既存ユーザーは無料でアップデートできる。尚、今回から「license.txt」をUIにドロップしてオーソライズする方式に切り替わった。- new Bessel and Legendre filters
- better handling of the controls
- improved internal accuracy
- some minor bug fixing
今回の目玉はベッセルとルジャンドルという二種のフィルタ(共にHP/LP/BP/BStop)が追加されたことだろう。
最新アナログ基礎用語集 - アクティブ・フィルタ - TI
上記ページによるとIIEQ Proに搭載されている其々のフィルタの特性は
▼バターワース・フィルタ
長所「通過帯域にリップルがない」
短所「ロールオフ特性が緩やか」
▼ベッセル・フィルタ
長所「グループ・ディレイの周波数応答が広帯域に渡って平坦」
短所「ロールオフ特性が緩やか」
▼ルジャンドル・フィルタ
長所「ロールオフ特性が極めて急峻」
短所「通過帯域内の減衰量が大きくなる」
とのこと。
以下、新しく追加されたフィルタや他のEQとの比較について。
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Fable Soundsの製品が三日だけ60%オフ
Fable Sounds is not fooling around. - 60% off EVERYTHING!
これ程安くなることは当分ないだろうとのこと。Broadway Litesが$199というのはつい手を出してしまいそうな価格。Broadway Lites $499.99 $199
Broadway Big Band $2495 $998
Upgrade from Broadway Lites to Broadway Big Band $1995.01 $798
Cross-grade from Broadway Big Band - HALion to Broadway Big Band - Kontakt Edition $299 $119
因みにLitesは上位バージョンがマイクポジション4つなのに対し1つ。そして上位バージョンに含まれている以下のパートが含まれていない。
Alto Saxophone #2
Tenor Saxophone #2
Trumpet #1 w/ cup
Trumpet #2
Trumpet #2 w/ harmon
Trombone w/ bucket
Trombone w/ straight
Banjo
Ukulele
Upright bass
Xylophone
Drum kit (Sticks)
Drum kit (Brushes)
Bongos
Congas
Timbalitos
Percussion Toys
要するにセカンド・パートとトランペットのカップ・ミュート、その他パーカッションなどが省かれているということか(※ハーマン・ミュートはLitesにも含まれている)。これだとビッグバンドは無理そうだが、2管以上の編成を組むつもりのない人にはありかも…と思ったが、それに加えアーティキュレーションもそこそこ省かれているようなので、そういう視点から見てもやはりLitesは微妙か。
そういえばProjectSAMも近々ビッグバンド系の音源を出すとか。
Upcoming Library from ProjectSAM: First Teaser Video - YouTube
このデモだといまいちどういう音源なのか分かりづらいが、この系統は未だにコレといった音源が出ていないので期待したいところ。
HOFAのIQ-Limiterが凄い
【追記】とは言ったものの、もうしばらく試してみたところ、音の輪郭のぼやけにくさ、音の距離の取り方は確かにPro-Lよりも上だが、何にでも合う無難さという意味ではやはりPro-Lの方が上かもしれないと思った。というのも、上記の特長に加え、音が平べったくならないのがIQ-Limiterの利点なわけだが、その分ミックスの腕がもろに結果に反映されてしまう。平面化するというのは、隙間を埋め出っ張りを押さえるということでもあり、失うものもある代わりに無難にまとまるというメリットでもあったわけだ。特にPro-Lは縦のラインのバランスの取り方が本当に上手いと改めて思った。【了】
IQ-Limiter | HOFA-Plugins
▼IQ-Limiter

ここのメーカーのプラグインはどれも非常に多機能なのに、リミッターに関しては「1 switch and 1 control」とあるように、本当に最小限の機能しかない。その分内部で高度なことをしているのではないか、と勝手に思っているが実際のところ定かではない。
操作は簡単。ただ「IN」と「OUT」で入力量と出力量を調整するだけ。
「1 switch」のリミット・モードは「FAST/MED/SLOW」の三つが用意されている。「MED」は最も一般的なモード。「FAST」はさらにそれよりも透明感のある設定だが、過度な入力があった場合に音が歪みやすくなる。逆に「SLOW」は最も歪みにくいセーフティな設定。ただし、市販されている既存の音源などに使ってみたところ、シンバルなどにおいて逆に「SLOW」の方が音割れしやすくなる場合があったので、どのモードが音割れしにくいかはソースによっても変わってくるようだ。
「Settings」では「Show Output ISP」にチェックを入れてインター・サンプル・ピーク・メーターに切り替えることができるので、これでISPを管理できる。また、右下の▲にカーソルを合わせてドラッグすると、GUIをある程度伸び縮みさせることが出来る。
通常129,90 EURのところ、今ならイントロ価格で119,90 EUR…。うーん、割引率低いな。
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さて、Pro-Lの何が良かったのかと言うと、リミッターとしての基本性能の高さに加え、他の多くのリミッターよりも味付けが少なく、どんなソースでも無難な結果を出す汎用性を備えていたからだ。しかし基本性能が高いと言っても、他のものよりは良いという程度で、やはり輪郭のボヤけやスピーカーへの張り付き、平面になるというリミッター特有の変化は見られた。
Invisible LimiterなどはPro-Lよりも全体的に輪郭がボヤけにくく、スピーカーとの距離の取り方も上手かったが、一方でセンターの定位はPro-Lよりもボヤける、音がやたら硬くなる、低音や高音が強調されるなどの特徴があった。そしてその分ソースを選ぶため、非味付け用途としてマスターで使用するには少々疑問があった。
このように、今まで自分が試してきたリミッターにはどれも良いところと悪いところが混在していて、その中で一番バランスが優れていているのがPro-Lであり、故に自分はそれを評価していた。つまり、その音の変わり方全てに満足しているというわけではなく、あくまで相対的満足だったわけだ。
しかしIQ-Limiterは、そんな風に相対評価としてどうこうというより、絶対評価として見ても十分に良い。まずなんといっても音の輪郭がぼやけにくい。そしてスピーカーに張り付くような圧迫感が出にくく、距離を取るのが非常に上手い。この能力はInvisible Limiter以上。その上平面にもなりにくいときている(これはその分ミックスで上手く整理しなければならないということでもあるが)。味付けも殆ど感じさせず、変に音が柔らかくなったり硬くなったりもしない。つまりどんなソースにも合う汎用性を備えている。
機能に関しては最低限のものしかなくGUIもショボいが、とにかくリミッターとしての基本能力が非常に高く、音の変わり方に不満を全く感じない(もちろん、技術は日々進歩しているので、何年も後になって振り返ってみるとコレにも不満を覚える可能性はあるが)。そういうリミッターは今のところコレしか知らない。
ただ、唯一音割れ耐性に関してはPro-Lの方が上のように思った。と言うのも、Pro-Lはソースに合わせて「Lookahead」や「Attack」などを設定すれば大抵の場合は音割れを回避できてしまう包容力を持っているので(ソースによって音割れしにくい設定は変わってくる)。もちろん、その設定の音を気に入るかどうかという問題は別にあるが。 何にせよ、設定を色々弄れる分サウンド・バリエーションがあるというのはPro-Lの一つの強みだろう。
とはいえ、今トランスペアレント系のリミッターで何がお勧めかと言えば、迷うことなくIQ-Limiterと言う。音を前に出したい、何が何でも音圧を上げたい、音をより派手にする目的でリミッターを使用したい、という人には物足りないかもしれないが、リミッターの段階では極力音を変えたくないという人にとっては、今のところこれ以上のものはないだろう。これはきっと新たな定番プラグインになるはず。
***
因みに、HOFAのリバーブとコンプも試してみたが、どちらも一級品。恐らくEQの出来も良いのだろうけど、これはインターフェイスがゴチャゴチャしていて余り弄る気にならなかった。ゲインも-24dBまでしか下げられないみたいだし。これだとPro-Q2の方がいいなあ、と。ダイナミックEQ機能が付いているのは羨ましいが。
EQに関してはPro-Qがアップグレードで格段に良くなったため、ピュア系EQはもうあれだけでいいんじゃないか、というのが正直なところ。ただダイナミックEQ機能が付かなかったのは本当に残念だが。一年ほど前にToDoリストに入れると言っていたはずなのに、何故実行されなかったのだろうか。それが実行されていたら、速攻アップグレードしたのだが。というか、アップグレードに$99とか高すぎる。
ARIA SoundsがKickstarterでストリングス音源作成のための資金を募る
The London Symphonic Strings - Virtual Instrument by Aria Sounds

目標達成学は£3,500。残り15日の時点で集まっている資金は£535。今回もやはり目標達成はちょっと難しいような気もするが、Strezov Samplingの時($14,000)と違って設定額が低いだけに、まだ今回の方が可能性はあるかもしれない。
※因みに、Strezov SamplingはIndiegogoでのファンディングには失敗したものの、もう直ぐトロンボーンとホルンの音源をリリースする予定。
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出資コースは
£10 寄付
£30 1st,2ndバイオリン、ヴィオラ、チェロ、ダブルベースのいずれかを入手
£110 『The London Symphonic Strings』フル版を入手
£600 フル版入手プラス、出資者のアイデアがライブラリに盛り込まれる
£1500 ARIA Soundsのライブラリ(今後リリースされるものも含め)全てを入手
となっている。
ライブラリの詳細は、
▼マイク 最低でもClose、Conductor、Roomの3つ
▼編成 1stバイオリン12人、2ndバイオリン10人、ヴィオラ7人、チェロ7人、ダブルベース4人
▼アーティキュレーション
・ノーマル・サステイン、コン・ソルディーノ、スル・ポンティチェロ、トレモロ(全てトゥルーレガート機能あり)
・スタッカート、ピッチカート、ハーモニクス
・高速プレイ用のファスト・アップ/ダウン・パッチ
・様々なストリングス・エフェクト
が予定されているが、これらはあくまで基本となるもので、その他にも色々アイデアがあるよ、とのこと。販売価格は£250程度、リリースは2015年3月頃が予定されている。
何にせよ、最も人間らしく自然で包括的な音源を作るつもりだとか、既存のライブラリが苦手だった早いプレイにも対応できるようにするつもりだとか、クレッシェンドやデュミニエンドも録音するよ、とか、優れた音源を作りたいという意欲はひしひしと伝わってくる。
「最も人間らしく自然な」というのはちょっと地雷臭がするし、実際にどういう音になるのかも分からないものにお金を払うのは(実利的なものとして見ると)かなりのギャンブルになるが、既存の音源の高速フレーズへの対応力なんかに不満を抱いている人は、こういうものに投資してみるのもまた一興かも。まあ目標額に届かなければ意味はないが。
Embertoneがハロウィン企画でまさかのBlueコスプレ
Embertone - Arcane
vi-controlの関連スレ
Embertone's Free Kontakt Player Library: Arcane

まず立ち上げたら、上の方にあるアルファベットで名前を入力してYesを押し、ろうそくに火をつける。すると一つ目の音源が使えるようになる。さらに画面中央の横に並んだマークを押すと、其々問題が出題され、それらを解くと奥へ進み、「DESOLATION」「OFFERING」「SPECTER」「INFERNO」の四つの音源(「OFFERING」はFriedlander Violinのデモ)が使用できる仕組みになっている。
其々バックに環境音などが流れているが、これは右上のスピーカマークでオンオフできる。また其々の音源に備え付けられた左上の三角ボタンをクリックすると、上の画面に戻ることが出来る。
そして問題はこの「SPECTER」という音源。なんとRealitoneのBlueにそっくり。

放っておくと、急に笑い出したり怒鳴られたりするのでびっくりする(もちろんそれらの音声はスピーカーボタンでオフに出来る)。
↓本物はこんな感じ。

本物のように歌詞を自分で入力して歌わすことは出来ないが、ウー、イーという発音のほかに、ベロシティで切り替えが出来るフレーズサンプル(Soundcloudのティーザー音源で使用されている)やうなり声のような奇声、不気味なハーモニーなどが利用でき、フリーのわりに中々気合が入っている。
↓ティーザー音源
せっかくだから「ウー」でコードを弾いて本物と比べてみた。前者が本物で後者が偽者。
――ところで、説明には 「it’s a limited release」とあるが、これは期間限定ということなのだろうか?何にせよ、これ以外の音源も悪くないし、何よりインターフェイスが凝りまくっていて面白いので、さっさと貰っておいたほうがよい。あと、四つ全部クリアするともう一つ別の音源が使用できるようになったりもする。

***
にしても、Kontaktでこんなことが出来るのは驚き。まあ冷静に考えてみればこういうことが可能なのはそれほど意外なことではないのかもしれないが、今まで誰も(?)やらなかった、しかも結構手間が掛かるはずのことを単なる面白企画で惜しげもなく披露するEmbertoneのサービス精神恐るべし。Friedlander Violinをリリースして以来、Embertoneは要注目ディベロッパーの一つだが、今後の展開にも益々期待が高まる。
因みに、こういうことをやっているわりに、去年のうちにリリースされるはずだった音源の幾つかが未だにリリースされていなかったりする。
Xsample Chamber EnsembleがJRRで$169.15

画像はJRRのニュースレターより
Xsample Chamber Ensembleはずっと気になっている音源ではあったが、値段が高いので実際に購入しようと思ったことはなかった。しかし流石にこの値段になると欲しくなる。元のサンプルが古いのと、多少ウェットな音色が気になるが、まだこの系統の有料音源を持っていない人はまず買っておいて損はないんじゃないだろうか。これだけでオーケストラに必要なブラス以外の殆どのソロ楽器が揃ってしまうし。
STREZOV SAMPLINGのCFオケ音源作成計画が残念な結果に

結局最終参加者人数は23名で、最低達成ラインの30%にまでしか届かなかった。これは完全にクライソニック・エンドですわ。KVRやrekkerd.orgなどの有名どころで紹介され、セール扱いになっていたらもっと違う結果になっていたと思うのだが。
というか、そもそもこの企画に気付いていた人がどれくらいいたのか、という疑問がある。(これが始まった頃にしか確認していないし、もしかしたら見逃がしていただけかもしれないが)自社の公式ページにすらこのことが載っていなかったのも妙な話(まさか詐欺ってことはないよね)。
結局、vi-controlフォーラムくらいでしか告知していなかったんじゃないだろうか。あそこのフォーラムを見ている人数なんて限られているので、そりゃそれだけだとこういう結果になってもおかしくない。
ということで、なんだか釈然としない企画だったなあ、と。
DDMFがチャンネル・ストリップ「The Strip」をリリース

チャンネル・ストリップということで、一つのプラグインにEQ、ゲート、コンプが一緒に入っている。其々の機能、及び其々のEQセクションは、ランプをクリックして点灯・消灯させることで個別にオン・オフが可能(「Input/Output」のレッド・ランプとボタンのイメージが同じなのがちょっと紛らわしい)。尚、設定数値はノブをクリックすることで確認できる仕様となっている。
2倍オーバーサンプリング(「OVERSAMPLING」)、ゲート&コンプとEQの処理順序入れ替え(「COMP≧EQ」)、位相を反転(「PHASE INVERT」)、サチュレーション付加(EQをオンにすることで発動)などの機能を備えているのが特徴。価格は通常$49だが、9月の終わりまでは導入価格として$39で購入できる。
KVRの関連スレ
KVR: DDMF is going to release THE STRIP (Topic in the 'Effects' forum)
Gearslutzの関連スレ
New channel strip by DDMF - THE STRIP - Gearslutz.com
現在、ハイパスをオフにすると位相がおかしくなる、コンプのリダクション・メーターがちゃんと反応しない、コンプのアッタは最大で180msまで設定できるのにノブが真ん中の状態で2msにしかならない、など様々なバグが報告されている。ただ、開発者も出来るだけ早く直すと言っているようで、実績もあるし、それに関しては余り心配する必要はないと思っている。
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DDMFのEQはカットは悪くないがブーストはいまいち、というのが自分のこれまでの印象だった。例えば、IIEQ Proのバターワース・フィルタによるハイパス・ローパスの切れ味の良さや特定の帯域をゴソッと削り取る能力は、多くの競合がひしめく中でもひときわ輝いていた(――それをさらに上回るカット能力を持つPro-Q2が出てしまった今となっては少し色あせてしまった感もあるが)。その一方、ブーストはどうもいまいちで、スピーカーに張り付くような圧迫感やボヤけが出る欠点があり、不満だった。
しかし今回のこのEQはそういった問題点が見事に払拭されている。ブーストしても圧迫感やボヤけが余り出ない。ちゃんと距離が取れる。派手な音を作るのには向いていないが、その分嫌味な音になりにくく、とても使いやすい。これはDDMFがこれまでリリースしてきたEQの中で最上のものであることは間違いないだろう。
ただし、コンプに関してはアタックを早めに設定すると音割れしやすく、少し弱いように感じた。また、検知フィルターの低音をカットするサイドチェイン機能が付いていなかったり、Kneeに関する項目が無かったり、機能面に関しても少し物足りなさを感じる。
Strezov Samplingがクラウドファンディングでオケ音源の製作を目指す
Strezov Orchestra: The Journey Begins | Indiegogo
VI Controlフォーラムの関連サイト
Strezov Orchestra: The Journey Begins
最低目標ラインは$14,000で、このライン未満の資金しか集まらなかった場合は集めた資金を返却するとのこと。また、集まった資金によって製作する音源の内容も異なってくる。
――間違えているところがあるかもしれないので、参加される方はこのブログの内容を鵜呑みにせず、上記リンクで詳細をご確認ください。
- もし集めた資金が$14,000に届けば、ホルン3/トロンボーン2/トランペット2/ロー・ブラス・トゥッティ(チューバ1+トロンボーン1)というインストゥルメントで構成される「Strezov Brass Lite」を作成。
- もし集めた資金が$18,000に届けば、ホルン6/トロンボーン3/トランペット3/ロー・ブラス・トゥッティ(チューバ2+トロンボーン2)というインストゥルメントで構成される「Strezov Brass Full」を作成。
- もし集めた資金が$22,000に届けば、ホルン8/トロンボーン4/トランペット3/ロー・ブラス・トゥッティ(チューバ3+トロンボーン3)、ホルン2/ソロ・トランペット/ソロ・トロンボーンというインストゥルメントで構成される「Strezov Brass Plus」を作成。
収録されるアーティキュレーションは(アンサンブル・ホルン、アンサンブル・トランペット、ソロ・トランペットに関する)トゥルー・レガートを備えたサステインとスタッカート。
また、資金提供には以下のような形態が用意されている。
Realivox-Blueに『かごめかごめ』を歌わせてみた
Realivox - Blue Realitone

使い方はとてもシンプル。「Start」で子音、「Vowel」で母音を選択し、最後に「End」で英語などに必要な語尾を選び、どのような音を発音させるかを決定する(この塊を1音節と言う)。ものによっては子音を複数選択できるものもある。「<」はキーボードで言うところのバックスペース・キーに相当。打ち込み直したい場合はこれをクリックすれば後ろから順に入力を消去できる。全てやり直したい場合は「Reset」をクリック。一つの音節を打ち込み終わり、次の音節に移るためには「Next Syllable」をクリック。
入力された音節は左上の項目に表示され、この状態でMIDIキーボードなどを使ってノートを入力すると、新しいノートが入力させる度に自動的に発音される音節が次から次へと順番に切り替わっていく。
一節分の入力を終えたら画面左下にある鍵盤画面を見ながら、MIDIキーボードやピアノロールなどで特定のノートをクリックし、その一節にキースイッチを設定する(設定を消去したい場合はBlueの鍵盤をクリックする)。これでいつでもこの一節が呼び出せる。それが終わったら「Reset」ボタンを押して新しい一節の入力に移る。

また、画面左下の「Click for Stettings Page」をクリックすると、アタック/リリース、ビブラート、リバーブ、レガート、ダブリングなどの設定を調節できる画面が開く。
しかし言葉でどうこう言うより、公式のウォークスルー・ビデオを見た方が早い。
Realivox Blue Walkthrough
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前回の記事では音の繋がりが気になるというようなことを言ったが、それも思ったほど不自然ではなかった。もちろん完璧とまでは言えないが、恐らく現存するボーカル音源の中ではかなり良い方なのではないかと思う。何より、このクオリティのものがリアルタイムで演奏できるというのが凄い。例えばUTAUなどは、打ち込みの結果を確認する度にその都度wavに変換する手間が掛かった。しかしこれなら鍵盤で弾いて、或いは普通に打ち込んだものを再生して直ぐに音を確認することができる。この差は大きい。
しかもこれ、なんと日本語の歌詞を歌わせることまで出来てしまう。以下は『かごめかごめ』を歌わせてみたところ(Voices1と3をオンにしている)。
幾つか発音が微妙なものもあるにはあるが、試してみたところ、日本語に必要な音の殆どを発音させることができた(もちろん、微妙に外国人なまりになるが)。
レガート項目にある「Vowel」機能も非常に便利。これを選択すると以下のように、レガートで弾いている間はずっと同じ音節に留まり、その母音を発音させ続けることができる(ダブラーとしてTDRのProximityを使用)。
基本的には遅いテンポを得意にしている音源だと思うが、例えば上に挙げた『かごめかごめ』の例では以下の程度くらいには早く歌わせることがる。これ以上速くすると「うしろの~」の部分の発音が間に合わなくなる。
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このプラグインの唯一の弱点は、表現力の幅がそこまで広くない、という所くらいか。とはいえ、Blueは近年発売された全てのプラグインの中でも、質の高さ、汎用性の高さ、アイデアの革新性なども含め総合的に見て、もっとも優れたものの一つだと思う。
日本語にどれほど対応できるかはまだまだ未知数なところがある。だがこの音源はメイン・ヴォーカル以外にも様々な使い道がありそうだし、取り分け、ヴォーカル音源に興味を抱きながらも様々な理由でボカロにはいまいち乗り切れなかったという人にとっては買ってみるだけの価値が十分にあるのではないか。
【参考】「Blueを日本語で歌わせる場合の対応表」
※但しこれが必ずしもベストであるとは限らない。
あ(Ah)|い(Ee)|う(Oo)|え(Eh)|お(Oh)
か(K/Ah)|き(K/ee)|く(K/Oo)|け(K/Eh)|こ(K/Oh)
さ(S/Uh)|し(S/Ee)|す(S/Oo)|せ(S/Eh)|そ(S/Oh)
た(T/Ah)|ち(Ch/Ee)|つ(Th/Oo)|て(T/Eh)|と(T/Oh)
な(N/Uh)|に(N/Ee)|ぬ(N/Oo)|ね(N/Eh)|の(N/Oh)
は(H/Ah)|ひ(H/Ee)|ふ(H/Oo)|へ(H/Eh)|ほ(H/Oh)
ま(M/ah)|み(M/Ee)|む(M/Oo)|め(M/Eh)|も(M/Oh)
や(Y/Ah)|ゆ(Y/Oo)|よ(Y/Oh)
ら(L/Ah)|り(L/Ee)|る(L/Oo)|れ(L/Eh)|ろ(L/Oh)
わ(W/ah)|ん(~/Mm)
※「ん」は単独で発音させることはできない。
が(G/ah)|ぎ(G/Ee)|ぐ(G/Oo)|げ(G/Eh)|ご(G/Oh)
ざ(Z/Ah)|じ(J/Ee)|ず(Z/Oo)|ぜ(Z/eh)|ぞ(Z/Oh)
だ(D/Ah)|で(D/eh)|ど(D/Oh)
ば(B/Ah)|び(B/Ee)|ぶ(B/Oo)|べ(B/Eh)|ぼ(B/Oh)
ぱ(P/Ah)|ぴ(P/Ee)|ぷ(P/Oo)|ぺ(P/Eh)|ぽ(P/Oh)
きゃ(K/Y/Uh)|きゅ(K/Y/Oo)|きょ(K/Y/Oh)
しゃ(S/Y/Uh)|しゅ(S/Y/Oo)|しょ(S/Y/Oh)
ちゃ(Ch/Ah)|ちゅ(Ch/Oo)|ちぇ(Ch/Eh)|ちょ(Ch/Oh)
にゃ(--)|にゅ(--)|にょ(--)
ひゃ(--)|ひゅ(--)|ひょ(--)
みゃ(--)|みゅ(--)|みょ(--)
りゃ(--)|りゅ(--)|りょ(--)
ぎゃ(G/Y/Ah or G/Y/Uh)|ぎゅ(G/Y/Oo)|ぎょ(G/Y/Oh)
じゃ(J/Ah)|じゅ(J/Oo)|じぇ(J/Eh)|じょ(J/Oh)
びゃ(B/Y/Ah)|びゅ(B/Y/Oo)|びょ(B/Y/Oh)
ぴゃ(P/Y/Ah)|ぴゅ(P/Y/Oo)|ぴょ(P/Y/Oh)
尚、Blue一つでは発音できない音も、Blueを二つ立ち上げてクロスフェードさせれば発音させることができる。以下はREAPERを使用したクロスフェード手法で「にゃ、にゅ、にょ」を発音させてみたところ。
Realitoneのソロ・ヴォーカル・ライブラリBlueがイントロ・セール
Realivox - Blue Realitone
※Realivoxをディベロッパー名と勘違いしていたが、実際はRealitoneだったのでタイトルを修正した・
【追記】 Kontakt Player向けのものは、フリーのKontakt Playerで使用できるだけでなく、左端のライブラリ・タブに登録することができるというメリットもある。KVRのスレでの開発者のコメントによると、もしKontakt版を買ってしまい、後からライブラリ・タブが欲しくなった場合は、メールでその旨を伝えればKontakt Player版を$15で買うことが出来るクーポンをくれるとのこと。
KVR: Forum Topic - Realivox Blue
【了】
これ、デモやYoutubeのウォークスルー・ビデオを見る限り凄くよさそうに聞こえる。何より音色が素晴らしい(ボカロにもこんな音色のものがあるのだろうか?)。しかもポリフォニック・レガート機能まで付いているという。
ここのディベロッパーのものではアコギ音源を持っていて、そちらはどうも音に質感がなかったり、ストラムで選べるコードがメジャーとマイナーしかなかったりして微妙な感じだったが、これはちょっと欲しくなる。バックコーラスとしては間違いなく使えそうだし、梶浦由記やアディエマスみたいな架空の言語を歌わせたりする系統の曲を作りたい場合などにもよさそう。
デモは曲自体も良くてこれを聴いているだけで欲しくなるが、発音の繋がりが微妙な部分に上手く他の楽器を被せたりして、そういう意味でもよく出来ている。ソロで歌わせた「Amazing Blue Grace」やユーザーによるレガート・デモなんかを聴くとわりと微妙だったので、音の繋がりについて過度な期待はしない方がいいかもしれないが、アーとかウーとかのバリエーションが沢山ある音源と考えるとガッカリせずに済みそう。
ただ、この系統では他にSHEVANNAIなどがあって(但し歌詞を歌わせるのは無理?)、それと比べてどうかというのは気になるところ。あっちは「妖精語」のフレーズが沢山収録されているという強みもあったりして…。あとスタッカートもある。でも音色自体はこちらの方が断然好き。
vi-controlフォーラムの関連スレ
Realivox Blue - Vocal Sample Instrument Released! And . . . On Sale!
Realivox Blue - any first user impressions?
KVRフォーラムの関連スレ
Realivox Blue - Vocal Sample Instrument Released! And . . . On Sale!
SpitfireのSableに犬の鳴き声が収録されていると話題に
Not really, but it sure sounded like a small dog bark at first: Sable, Vol. 4 - CB Long Flautando. F1-F#1. notes. It's at the end of the release tail (pun intended).
Soloing the close mics, it's apparently a bow noise, but with the Tree mics only, it almost had me convinced it was canine. It's even a slightly larger dog using the A mics, lol. Am I going mad?
All in good fun, of course.
Greg
挙句の果てに、その犬の鳴き声を使った曲を投稿する者まで現れたりする始末。他にも、Kirk HuntersのConcert Stringsには鳥の鳴き声が収録されているとか。Orchestral ToolsのBerlin stringsにも様々な雑音が収録されていたが、やはりホールでの録音は色々と難しいんだろうなあ。
Berlin Woodwinds Exp Bのバグを自分で修正

おかしいのはA4とA#4のノート(この二つのノートは同じサンプルを使用している)。
こんな風に、最初にリップノイズのようなものが入る。尚且つキーを押しても直ぐに音が鳴り始めない。はっきり言って、これでは全く使えない。まあ今のところ使う予定はないが、せっかく買ったものが使えないというのはどうも納得がいかない。バグ報告をしようかとも思ったが、いちいちアカウントを取る必要があったり、英語で変な文章を書くのも面倒なので、もう自分で直すことにした。以下はその直し方について。
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PragueSoundsのソロ・ストリングス音源が10/31までイントロ・セールで$99
http://www.praguesounds.com/
まだ実績のないディベロッパーの商品であることや、物理メディアでの購入ということで少々不安もあるが、何しろデモが良いし、各種ソロ・ストリングスがセットになって$99という破格の値付けなので、興味のある人は冒険してみてもいいかも。取引でトラぶったりクソ音源だったりしても責任は取れませんが。
KVRの関連スレ。デモが聴ける。
KVR: PragueSounds Solo Strings - introductory price $99
最近注目度が上がっている(?)VI Controlフォーラムの関係スレ。
Announcing PragueSounds Solo Strings - the VI Control Forum!
オーケストラ系音源の比較を行っている個人ブログ
下の方で、様々なソロ・ヴァイオリン音源を比較したテスト音声が聴ける。
http://eotte.blogspot.nl/2013/10/prague-solo-strings.html
IIEQProがv3.07にバージョンアップ
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今回のアップデートでは、幾つかのマイナー・バグフィックスと共に、マルチトラック・コントロール機能が追加された。これによって、同一プロジェクトに立ち上げた複数のIIEQProを、一つの画面上で切り替えてコントロールすることが可能になった。自分の知る限り、こういう機能を持ったEQは他に無かったように思う。これは中々先進的なアイデアなのではないか。
▼使い方
IIEQProを立ち上げると、「Name」欄に立ち上げた順にナンバーが割り振られていく。どんどん立ち上げていくとどれがどれだったかが分かり難くなるので、立ち上げたら直ぐに該当する「Name」欄をダブル・クリックし、名前を付けていった方がよさそう。

表示の切り替えは「Select」欄をクリックして行う。現在表示されているものには「X」マークが付き、緑色で表示される。
さらに新バージョンでは、二つのパートをアナライザで比較しながらイコライジングすることも可能になった。

それをしたい場合、まずGUIの右端にならんだ「Analyzer」ボタンをクリックしてアナライザ表示をオンにする。するとこれまで通り、現在表示されているパートの状態が緑色のアナライザで表示される。次に、比較したいパートの「Ana.」欄をクリックする。すると「X」マークが表示され、黄色に変化する。そしてそのパートの状態が黄色のアナライザで表示されるようになる。もし表示を消したい場合は、「Ana.」欄を再びクリックして「X」マークを消せばよい。
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IIEQProはブーストがいまいちなので最近は余り使うことがなくなっていたが、この機能が凄く便利なので、これからはカット用として少しは使用する頻度が増えるかもしれない。最近メインとして使用していたのはMdynamicEQだが、これにも、(自分のPCのグラフィック能力が貧弱なためか)アナライザを表示させたりしてGUIを動的にするとCPU消費が極端に跳ね上がる、ハイパスやローパスをオートメーションで動かすとノイズが乗る、GUIがでか過ぎたりしてストレスが溜まる、などの不満を持っていたりするので。
Minimoog-V OriginalとDensity MkIIIで試し切り
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ドラムがBFD Ecoで他のパートはMinimoog-V。
せっかくだから、最近アップデートされたDensity MkIIIの具合を確かめるために、バスコンプに其々Density MkIII、IK670、TDR Feedback compを使用した3つのバージョンを用意してみた。ただ、作っておいて言うのもなんだが、直挿しでないということも相まって、この素材だとぱっと聴いただけではそれ程違いは分からないかもしれない。とはいえ、違いはちゃんとある。
- MkIIIは3つの中で一番音が柔らかい。内部サイドチェインを使えば低音をかなり強調できる。下の部分をより詰め込みたい場合や、音を少し柔らかくしたい場合、隙間を埋めてサウンド全体を安定させたい場合などに役立ちそう。新しく搭載された「COLOR」項目での色づけも良好。
マニュアルによると、「TIMING」項目で設定できる「アタック(コンプ)/アタック(リミッター)/リリース」は其々「P1:2/0.2/300ms」「P2:2/0.2/800ms」「P3:4/0.4/1000ms」「P4:4/0.4/2000ms」「P5:5/0.5/3000ms」「P6:8/0.8/5000ms」となっていて、ここではP2を選択している。
- IK670は一番色づけが派手で、音はかなり固め。引き締まった感じの音になりやすい。できればこれにも内部サイドチェイン機能が欲しいところ。「TIME CONSTANT」は2を選択。
- TDRは、設定にもよるが基本的に3つの中で一番クリアで素直。ここでは「6dB HP」のサイドチェイン・フィルタを用い、「LO/HI COLOR」を其々100%(上限200%)に設定している。「COLOR」での色づけはまあそこそこという感じ。新しいバージョンではリリースが二段階になり、より自由に音作りができるようになっている。ここではアタック/リリース・ファスト/リリース・スローを其々2ms/245ms/802msに設定。
――MkIIIは他の二つに比べると少しベッタリ感があるが、まるでロードローラーのようだったMkIIよりはメリハリがあって使いやすくなったんじゃないだろうか。まあどんなに音がベッタリしてもいいからとにかく音圧を上げたい、というのであれば、MkIIの方が威力を発揮すると思うが。
Angraの「Carry On」をVSCとS-YXG50で
【追記6/26】ヴォーカル・パートの音量をちょっとだけ下げて上げ直した。
昔打ち込んだもの。音源はVSCとS-YXG50。ただ、それだけだとどうもエッジが足りない感じだったので、AmpliTube FREEを特定の帯域にだけ限定して掛けてみた。
思えば、MUSEを使い始めて初めてちゃんと打ち込んだのがこの曲だった。まだ使い方がよく分かっていなかったので、半音下げチューニングを調号で何とかしようとしたりして…。しかしピッチの扱いに関しては未だにこのシーケンサに勝るものはないのではないか。この曲で使っているようなピッチ入力をREAPERですることを考えただけでも気が遠くなる。それはDominoや昔のSSWなどでも同じ。
まあ、ギターに関しては(有料音源を持っているならば)もうピッチでどうこうする時代じゃないのかもしれないし、ヴォーカル・パートを楽器の音色で模倣するという手法を取ることも今ではまずないだろうけど。
Sleepy-Time RecordsのM/S対応VUメーター「STEREO CHANNEL」

デフォルトでは0VU=-18dBFSだが、「NOMINAL LEVEL」項目で0VU=-24~-6dBFSの範囲で変更が可能。
入手は以下から。
StereoChannel - Stereo Gain Staging/Balance VST- Cockos Confederated Forums
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このプラグインは他にも、Left/Right/Mid/Sideごとのミュート機能、左右のチャンネルの位相反転と入れ替え、L/R、M/Sごとの音量バランス・コントロール機能など、様々な機能を備えていて、ただのVUメーターの範疇を超えている。他にも、「CENTER X-OVER」ノブでは指定した帯域――0~500Hzの指定が可能――以下のSide成分をなだらかに削り、モノラル化することができる。
応用としては、同じ素材を読み込ませた二つのトラックを用意し、其々にこのプラグインを立ち上げ、一方でSideをミュートし、もう一方でMidをミュートすれば、M/S分離処理をすることも可能。
またこのプラグインには、GUIから直接操作することは出来ないが、GUIを非表示にすることで設定が可能な項目もある。

「Yellow/Red LED Level」では、黄色LEDや赤色LEDが点灯する音量レベル、「Yellow/Red LED Hold」ではその点灯を維持する時間を設定することができる。「Phase Correlation Timing」では、GUIの下の「STEREO CHANNEL」ロゴの右にある位相相関メーターのバーの振れる速度を設定することができる。他にも「Balance Law」「Balance Compensation」といった項目があるが、これはどうも挙動が不安定な感じなので、余り触らない方がよいかもしれない。
DDMFがRTASバージョンをリリース
ただし、Metapluginだけは法的な理由とやらでリリースが除外されている。
また、AAXバージョンも今年の後半にはリリースされるとのこと。
しかし、プロツールス使っている人でDDMFのプラグインを
愛用している人っていったいどれくらいいるんだろう。
MAutoVolumeのパラメータについて
<このプラグインについて>
▼MAutoVolume

このプラグインがどういうものかといえば、設定にしたがってヴォリュームのオートメーションで自動的に小さい音を大きく、大きい音を小さくし、対象の音量を平均化してくれるというもの(基本的に個別パート向きで、2mixやドラム・グループなどには向かない)。つまり、コンプで音の大きな部分を圧縮した後にゲインを上げて音を平均化し、音圧を上げるのと似たような処理をヴォリューム・オートメーションで行おうとするもの。ただ、ヴォリュームで平均化するとコンプ特有の音の劣化が起こらないため、よりピュアにそれができるというのがこの手のプラグインのウリ。
もちろん、サチュレーションなんてものがあるように、必ずしもピュアな音の方が良く聞こえるとは限らないし、このプラグインではアタックやリリースの設定が出来ないため、結局は普通のコンプと併用することの方が多いかもしれない。しかしこれがあれば、コンプは少しクセを付けるためだけに使用するなんてことも出来るし、より音圧を稼ぎたい場合でも、普通のコンプと併用することで無理なくそれが可能になる。
また、其々のコンプによって音の変わり方が異なってくるのと同じで、普通のコンプを使った場合とこれを使った場合ではやはり音の変化の仕方も変わってくるし、REAPERのPモジュレーションでゲイン・リダクションを行った時の音ともまた違った音になる。なので、単純にコンプのバリエーションの一つとしてこのプラグインを使用するというのも悪くないだろう。
因みに、この手のプラグインの元祖はWavesのVocal Riderだと思うが、プラグインの評価に結構シビアで、気に入らないものには辛辣なもの言いをすることも多いKVRメンバーが、WavesのRiderシリーズでは出来なかったことがこれではできた、とこのプラグインをベタ褒めしていた。自分はWavesのRiderシリーズを試したことはないのでそれが正しい評価かどうかは判断できないが、Riderシリーズを狙っている人は、一度それを買う前にこれを試してみるのも悪くないのではないだろうか。値段もこちらの方が安いし。
以下はこのプラグインのパラメータについて。
TDR Feedback Compressorがv0.4にアップデートされたが…
v0.4ではレシオの反応が大きく変更され、より強力にゲイン・リダクションが行われるようになり、尚且つハイ・レシオ設定において歪みも加えられるようになった。2.5:1より下に設定した場合は前のバージョンと同じと書かれているが、少なくともv0.2の時の変化の仕方とは明らかに異なっている。前のバージョンとはv0.3のことだが、v0.3は落としていたがまだ解凍さえしていなかったので、ダウンロード時にv0.4を上書きしてしまい、違いを確認できず。v0.3ではPEAKとRMSを切り替えることができるようになったので、もし音の変わり方がv0.2と同じなら、是非とも入手しておきたかったところだが…。プラグインのバージョンアップはこういうことがあるから怖い。
ということで、古いバージョンを持っている人は上書きせず、それを残しておいた方がいいです。
ReaCompで簡単ピーク・カット
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やり方は、Pre-compを3ms、アタックを0ms、そしてレシオをinfに設定し、後はソースに合わせてスレッショルドやリリースを調節するだけ。

ゲイン・リダクションの目安は大体-2dBちょっとくらいが無難。この程度のカットだと、まず問題は出ない。実際にはもっとカットしても問題ない場合も多いが、これ以上カットするとものによっては問題が出てくる場合もあるので、それ以上カットする場合は一応音の確認をしておいた方がよい。
↓上の波形はこの方法で下の波形を-2.5dB程カットしたもの

リリース設定、及びリダクション後の音の変化に関しては、Auto make-upにチェックkを入れて確認すると分かり易い。ただし、確認以外では基本的にチェックは外しておいた方が無難。アウトプット・レベルが0dBを超えず、尚且つこの後に音量を増幅させる効果を持つプラグインを一切挿さない場合は別にチェックを入れたままでも問題はないが、実際には勝手に0dBを超えてしまう場合も多いので。
また、より音圧を上げたい場合は、一回で全て済ませようとするより、一つ目でより大きなピーク群をカットし、その後にもう一つReacompを挿して、それによって一つ目よりも小さなピーク群を狙ってカットする、という方法を使う手もある。必ずしもこの方法の方が良い結果が出るというわけではないが、一応知っておいて損はないかと。
King Tao StudioのAnalog Compressor

KVRの関連スレ↓
KVR: My last release : A Compressor !
アタックは0.5から300ms、リリースは0.05から10sと単位が違っていることに注意。CURVE項目では其々、linearで直線的、expで指数的なカーブで圧縮がなされる。

上の画像はREAPERのPモジュレーション画面。expでは右のようになっているのではないかと。あくまでイメージだが。
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今のところ、GUI上では数値が一切表示されず、リダクション量もいまいち分かり難いので、完全に感覚に頼って操作するしかない。そういう不便な面もあるが、このコンプはかなり効きが良く、例えば以下のような伸びのないスネアでも、強引に余韻を作り出したり――実際には強調だが――することができる。
↓素の状態とコンプを掛けたものとの繰り返し。
また、このコンプは高音が凹むクセがあり、結果として低音よりの音になりやすい。そのため、頭でっかちだったり浮ついたりしてバランスの悪い音源の重心を下げたい場合などに役立つ。ただし、重心を下げたいが高音も失われたくないという場合は、予めEQのシェルビングなどで少し高音をブーストしておいた方がよいかもしれない。