ポジティブ・アレルギー

物事を顧みず、ひたすら自身にとって都合の良い部分だけを見て突き進まなければならない、ポジティブ社会への拒絶反応

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「キモい」が肝の国、日本

ソフト会社がTBS批判 「初音ミク」番組
巡る「アッコ」祭り問題
 (MSN産経ニュース )

DTMに興味のある人やニコニコ動画を見ている人
(自分は見ないけど)にはすっかりお馴染みの
ヴォーカル音源「初音ミク」が、テレビで
オタクバッシングのダシに使われたとして
ネット上でちょっとした騒動になっていたらしい。

だが、開発元ブログのコメント欄なんかを見ても
かなりヒートアップしている様子だったので
一体どんな酷い内容だったのだろうと思って
YouTubeに投稿されていた当該番組を見てみたが、
正直思っていた程酷いものではなかった。

確かにあの番組中に登場するVTRが貶め目的で
制作されたものであることには間違いない。
しかし、貶め芸や恫喝芸でウケを狙うのが
常態化しているテレビに於いて、あのVTRが
特別突出して悪質だったようには思えない。

勿論、あの番組個別の問題としてではなく、
そういった手法に安易に頼ろうとする番組作りが
当たり前になってしまっている現在のテレビの
在り方自体に対しての批判はされてしかるべきだが、
ネット上でのあの番組に対する白熱ぶりと番組の
酷さの度合いにどうもギャップを感じてしまうのだ。

あの程度の貶めが騒動になるのならばそれこそ
四六時中騒動になっていなければならないだろう。

しかし、実際にはあれよりも酷いオタク叩きが
行われることも珍しくないのにそれに対して
ここまで白熱することは先ずない(あるのか?)。

 ***

じゃあ何故あの程度の貶めで騒動になるほど
にまで白熱したかと言えば、より多くの人間が
自分自身が「キモい認定」された、或いは
される恐れがあると感じたからじゃないのか。

つまり、いつもの「オタクキモい番組」では
それを見ているオタク達も、そこに出演している
一部の「キモオタ」だけが馬鹿にされているので
あって自分は彼らとは違うのだ、という意識を
持つことで平静さを保っていられるのだが、
今回はより具体的に「初音ミク」を使っている人、
或いはそれに興味を持っている人全てが名指し
で「キモい認定」の対象に選ばれたと感じた。

自分は「オタク」ではないと思っている人も、
「キモい」の代名詞的に使用されることも多い
「オタク」に認定されるのではないかという
恐れを抱いた。
(「ミクがオタク向けの商品だと勘違いされる」
というような危機感を抱く書き込みが結構あった)

だから自ずと怒る人の数も増え、それが
騒動を大きくした原因の一つにもなった。

しかしながら、この問題のそもそもの根本、
いやこの問題に拘らず、日本に於ける様々な
問題の根っこの部分に深く関わりその動向に
大きな影響を及ぼしている最も注目すべき要素は、
むしろこの「キモい」という情緒の方だろう。



<「キモさ」が全てを超越し得る風土>

というのも、この国の人達は「キモい認定」
された者は基本的に無条件に「悪」であり
「誤」であり「劣」であり、その人間は
どんな嫌がらせを受けても仕方がないのだ、
という様な認識を表向きには兎も角、心の奥底
では殆どの人間が共有しているように思える。

そして理屈云々よりも「キモいか否か」こそが
物事の正誤や善悪を分け隔てる分水嶺として
最も大きな役割を果たしているようにも見える。

以前に、それぞれの主張がぶつかり合った時、
その主張の内容よりもイメージ合戦で優位に
立った者の主張こそが正しきものと周りに
認められ、それによって社会の様々な常識や
システムが決定されていくというような記事
を書いたことがあるが、そのイメージ合戦に
於いて最も大きな力を持っているのもこの
「キモい」という要素だ。

何故なら、この国の風土に育まれた標準的
な感覚が身に付いている多くの者にとって、
「キモい」という情緒は意味より深い感覚的な
部分で「悪・誤・劣」といったものが抱かせる
それと直結してしまっている。


だから一旦この烙印を押された者が
その後で幾ら何を主張しようとも、

「誤り」が正しさを主張している。
「悪」が弁解している。
「劣」が「優」を装おうとしている。

といった風にしか受け止められず、
もうそれ以上は何を言っても「暖簾に腕押し」
「糠に釘」状態に陥ってしまう可能性が高い。

よくネットなんかで、自身と相対する主張をする
者に対し、具体的な内容に触れてそれを理屈で
批判するのではなく、ひたすら相手を貶める為の
文章を羅列することに終始している人がいるが、
彼らが何故あんなことをするのかといえば、
「相手に『キモい』というレッテルを貼ることに
さえ成功すれば、理屈などなくとも論戦に勝利
することが出来る」という思いがあるからだろう。

この社会に於いて、「キモい」という情緒は
人々にそんな思いさえも抱かせる程絶大な力を
持ち合わせており、実際時にはそれがあらゆる
理屈や理性を全て超越してしまうことすらある。

そしてそういった
「『キモい(という情緒)』はペンや剣より強し」
といったルールや「『キモい』に人権無し」
というような考え方が一般的道徳や法律という
表の顔の他に「裏番」として幅を利かせて
いるのがこの国の風土
なのだ。

それ故人々はその「裏番」を上手く利用する
ためにお互い「キモがらせ合戦」に終始する
ことになり、その合戦が行われることによって
生み出された雰囲気が常にこの国を覆っている。

だからこの国はどこへ行っても
貶めや誹謗中傷で溢れかえっている。
「キモい奴は死んで当然」と言って憚らない
ような輩を目にすることさえ珍しくない。

だが、それは別に彼らが平均的な日本人
と比べて特殊な感覚を持っている訳でも
なんでもなく、ただ正直なだけなのだ。
表と裏の区別をつける能力が無いため、
この国の風土を分り易い形で言葉に
変換して発しているだけに過ぎないのだ。

 ***

そんな「キモい」という情緒に支配されて
いるこの国に於いて、周りから「キモい認定」
されることはその人にとって著しい損害を
齎すことになるのは先ず間違いないだろう。

勿論、この国で育ちその風土をよく知っている
者ならば、そういったレッテルを貼られた者が
どういうことになるかという想像は簡単につく
筈なので、当然レッテルを貼ろうとする側は
悪意に基づいてそれを行っていることになる。
(意図せずそれを行ってしまうこともあるが)

冒頭の問題で多くの人々が(ミクに興味がない
周りの人達からすれば)一見過剰とも思える
ような反応を示したのは、テレビ局側のそういった
悪意を読み取ると同時に、そのレッテルが齎す
状況に対する大きな危機感を抱いたからだろう。

そして、そのことこそが今回の問題の本質的な
部分であり、その「裏番」の幅の利かせ具合こそが
問われ直さなければならないのだと思う。

だが、本来ならばそれを率先して行うべき立場に
ある筈のメディアが、逆にその悪しき風土を
積極的に利用して商売をしているのがこの国の
現状であり、救いのなさを表しているのだが。

(ここからは今回の騒動についての余談)
  <裏目に出る過剰反応>

ただ、今回の問題で番組に対する怒りを
抱いた人達の抗議の示し方を見ると、どうも
冷静さを欠いたものも多く、危うさを感じた。

というのも、数多ある貶め系の番組と比べて
取り立てて貶め度数が高い訳でもないあの
番組を批判し得る根拠としては、一つには
特定の職種を馬鹿にするようなニュアンスで
扱ったこと、そしてもう一つは取材される側が
当初受けていた説明とは全く違った趣旨の
内容のVTRを作るという、騙まし討ちとも
言える取材方法を用いたことが挙げられる。

この二つに関しては「ミク」に興味があるなし
関係なく、多くの者が問題視するであろうし、
また改善されてしかるべきだと思うだろう。

よって、抗議する側はこの二つの点に
のみ焦点を絞って抗議すべきなのだが、
実際には番組作りの問題点からも「裏番問題」
という本質的な問題からもそれた「TBS云々」、
或いは「ミク云々」という主張が多く見られた。

中にはテレビ局側が安易に注目を集める為に
用いた(前述したような)「裏番的ルール」
のアコギな使用方法に憤る余り、誹謗中傷
という表のルールに抵触するような抗議方法
を用いている者も少なくなかった。

だが、こういった偏向は他の局でも普通に
行われていることであり、また、今回の問題で
怒っている人達の中にはネットで同じ様な偏向的
書き込みを散々行ってきた人もいるのではないか?

つまり、この問題はTBS固有の問題でも
なんでもない訳で、となれば当然TBS固有の
問題として扱うべきではなく偏向そのもの
が問題とされなければならない。

それは「ミク云々」についても言えることであり、
この問題で怒っている人達も本当は別に「ミク」
に対する番組での扱いが悪かったから怒っている
訳ではなく、「ミク」を使っている人やそれに
興味を持っている人を「キモい認定」しようとした
「悪意」に対して怒っているのではないのか?
つまり、「ミク」固有の問題ではない。
(いや、もしかしたら本気でミクを崇拝し、
ミクを貶められたのが許せないという理由で
怒っている人もいるのかもしれないが)

であれば、やはりその怒りも「ミクの扱いの悪さ」
ではなく「悪意」の方に向けられるべきだろう。

そもそも、何も知らない外部の人たちが、
「『ミク』の紹介時間が短かった」
「『ミク』が貶められた」
「このソフトの本当の良さを理解出来ていない」
という理由で怒っている人達を見てどう思うだろうか。
しかもその人達が怒りの余り表ルールを
破っているのを見たらそれをどう見るだろうか。

「なんかオタクに人気のあるヴァーチャルアイドル
ソフトに対する番組での扱いが悪かったとかなんとかで
騒ぎになっているらしいよ。で、それに怒った人達が
誹謗中傷を含む過激な発言を繰り返しているんだって」

みたいな感じで受け止められ、ますます「キモい認定」
が確固たるものにされていくんじゃないだろうか。

さらに、もしテレビ局側がその理由に則って、
「この度は『初音ミク』というソフトを表面的
にしか見ていなかった為、このソフトの本当の
魅力に気付くことが出来ず、番組中に於いての
「ミク」の扱いがその優秀さを伝えることのない
不当に軽微なものとなってしまったことを
深くお詫び申し上げます」

なんて謝罪をしたらどうなるのだろうか。

謝罪したテレビ局側は一部圧力団体の圧力に
屈したという批判を受ける一方、「オタク」
や「ミク関係者」は世間からの圧倒的非難と
白眼視という大打撃を受けることになるだろう。

それこそ「ミク」は一部の先鋭化した
ヤバイ系のオタク達が使っているソフト、
みたいに受け取られるんじゃないだろうか。

 ***

時津風部屋のリンチ事件に象徴されるように、
外部からの空気が全く入らなくなり特定の集団内
の特殊なルールや雰囲気だけに支配されるように
なると、どうしても偏ったベクトルに流され勝ち
になり、最終的には大きな失敗をしてしまう。

外からの目に全く気を配らず、本質と
ズレた部分で仲間内でしか通じない娯楽化
したTBSバッシングに興じる人達を見ていると、
どうもそれと似通った危うさを感じさせ、自分で
自分の首を絞めているようにも見えてしまう。

「俺の嫁」じゃないけど、基本的に内輪ノリ
というのは外から見れば奇妙に見えるわけだし。

まあ、今はTBSへの風当たりが強いからそれでも
何も問題はないと思っているのかもしれないけど、
少しは外部の目に対しても気を配っておいた方が
良いようにも思えるのだが、 さてどうなることやら。

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ひきこもりという役割を引き受け
ざるを得なかった一人として
人間について考えてみる。
でも、本当はただの断末魔ブログ。

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※コメントは記事の内容(主題)に関するもののみ受け付けています。また、明らかに政治活動的な性質を持つ内容のコメントはお控え下さい(そういった性質を持つ発言は、それを許容するような姿勢を持つ一部のブログを除いて、自分のブログで行うものだというのが私の基本的な考え方です)。

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