ポジティブ・アレルギー

物事を顧みず、ひたすら自身にとって都合の良い部分だけを見て突き進まなければならない、ポジティブ社会への拒絶反応

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吾輩は正論である

<正論と現実の乖離が生み出す暴論>

吾輩は正論である。
現実的であったことはまだない。

 *(1)*

「正論」というのは、何らかの整然とした秩序が成立
すべきであり、またそれがある程度成立している
ということを前提とし、その「こうであるべき」
秩序に基づいて物事の正誤を語ることである。

しかし、現実は常にその正論が前提とする秩序の
外にも広がっている。正論が想定しきれなかった
(或いは敢えてその想定から除外した)状況や要素が
数多存在している。それどころか、その前提とすべき
秩序でさえ競合する諸説が幾つも存在していたりする。

故に、正論は遠目から見ると一見立派そうに見えても、
実際に近くによってよく観察してみると実はひびだらけ
であったり、或いは本来そこに存在すべき筈の様々な
パーツが欠けていたりして、実用的な道具としては
先ず役に立たたない代物でしかなく、むしろそれは
現実的議論というよりも、ある種の思想を下支えする
ための教条的象徴としての性質を持ったものと考えた
方が妥当だろう。


実際、何らかの議論が巻き起こるような問題の多くは
そういった杓子定規な正論では解決出来なかったり、
それが想定しきれなかった(或いは敢えて目を背けた)
事柄が発端となって発生しているものが殆ど
であり、
そういったケースに於いて正論を主張したところで
それは「一周遅れ」の話題を再燃させて議論の邪魔を
しているだけ、ということにもなりかねない。

また、暴論や一般的言説から外れた発言を行って誰か
から正論を投げつけられて非難されるような人間も、
その正論の前提となる秩序が成立していなかった、
若しくはその秩序に欠陥があったが故に辛酸を舐め、
その秩序の裏切りに対する反発としてその様な考え
を抱くに至ったという道筋を辿っている場合も多い。

そういった場合に於いて、その暴論を吐く人間に
正論を突きつけることでその発言を諌めようとしても
その者がそれで納得する筈もなく、むしろ「まだ騙し
足りないのか!」と憤慨して益々火に油を注ぐこと
になるだろう。現実と正論の乖離により生まれた
「暴論」という火の手の前には「正論」はただ立ち
尽くすことしか出来ない。

ちょうど上記した様な道筋を辿って暴論を抱くように
なった者が「現実」という火の手に身を焼かれている
時に、幾ら正論でそれを消火しようとしても何の役
にも立たなかったのと同じ様に。

 *(2)*

ところが、どうもそういった正論が前提とする秩序
に瑕疵があったが故に生み出された苦痛に由来する
叫びとしての暴論や、正論に裏切られ、それが通用
しない現実があることを知らしめたいという感情が
生み出した「正論の欺瞞告発としての暴論」を発して
いる者に、わざわざその者からすれば諸悪の根源で
しかない正論を用いてその発言を諌めようとし、益々
議論が泥沼化するようなケースが結構あるように思う。

それは正に火に油を注ぐ行為でしかないのに。

大体、正論というのは始めから先ず結論ありきの
論法であるため、その議論を終わらすことを目的
とする場合にのみ有効、例えば、相手が議論をする
に値しない態度を取りながら絡んでくるような場合の
一つの対処法などとして役に立つ(第三者に自説の
正しさや、そのやり取りに於いて議論としての有用性
がもはや終了していることをを印象付ける)だけで
あって、それを相手に突きつけるという手法を使った
時点で、もはやそれ以上その議論が発展することも
なければその相手と意義あるやり取りを成立させる
ことも出来なくなってしまう
(その議論に於ける自身
の優位性を第三者に見せつけること自体を目的
としているのならば意義は無いとは言えないが)。

つまり、正論を用いるということはそれと同時に
「貴方とはもうこれ以上本気で対話をするつもりは
ありません」という意思表示でもある。


人が何らかの議論に於いて正論を語り始める時、
それはもはやその相手に対してそれを語っている
のではなく、そのやり取りを見ているであろう
第三者に向けてそれを発信しているのだ。だから
一方が正論を持ち出した時、もうそれ以降まともな
議論は成立し得ず、単に勝ち負けをギャラリーに
アピールし合うゲームとしての議論にしかなり得ない。

相手に語りかけるような口調で正論を説いている
人間がやたらと胡散臭く見えるのはそのためだ。

実質的に相手との対話を打ち切る意思表示であり、
尚且つもはやその相手にではなく第三者へのアピール
としての発言でしかないものを、まるで対話相手との
語り合いであるかのように装うようなことをしている
のだから、そりゃ白々しいわけだ。

そもそも、前述したように議論が紛糾する場合の多く
は正論の想定外、いやむしろ正論の瑕疵そのものを
問うことを出発点としているのであって、問題の渦中に
居る人間はわざわざ他者からそれを教わるまでもなく
そういった正論的な考え方が存在することは既に了解
済みであり、しかしながらそれが現実的でなかったり
その考え方に瑕疵があったりすることを問題として
議論を行っている
のであって、そういう場に余りにも
在り来たりな正論を持ち込むという行為は、その議論
を茶化して引っ掻き回す行為以外の何者でもない。

(勿論、議論以前の前口上や、どうも相手がそれを
正しく理解していない疑いが有り、一先ずその事実
を確認することを目的としてそれを用いるのであれば
それはそれで充分意味はあるだろうが)

にも拘らず、正論と現実の乖離を出自とするであろう
議論や暴論を発する者に対し、ここぞとばかりに
駆けつけて正論を浴びせかけている人を見ると、
この人は自分の行っている行為の意味をちゃんと
分かってそれをやっているのだろうか?
という疑問を抱いてしまう。

何故なら、それは正論の瑕疵が生み出した暴論
という炎に油を注ぐ行為であったり、議論を茶化す
行為であったり、自身がゲームとしての議論にしか
興味がないということを周囲に悟らせてしまう行為
でしかないのだから。


 <正論応援団の失敗>

正論に関連しては、もう一つ常々「それはどうか」
と思ってきた行為がある。それは、わざわざ自説や
自身の支持する説に対しそれが「正論である」ことを
アピールしてみせる行為。

恐らくこれは、その説が「正論」という称号を獲得
さえすればそれが他の説よりも優れたものだという
証明になるという思いがあって、その説を優位に
見せることを目的として、それを応援するような
気持ちで行われている行為なのだろう。

だがもう既に述べたように、問題の多くはそもそも
現実に対する正論の誤謬から生まれ、そしてそれを
前提として議論が行われているのであって、その説が
正論だと証明されることはむしろそれが「一周遅れ」の
説であることを示すことであったり、或いは様々な要素
を見落とした短絡的な説であることを証明することに
なってしまうだけなのである。

そしてそれ以前に、こういった自身が支持する説を
優位に見せる為に特定の単語が持つイメージを利用
して印象補填を行うという行為自体が、正論的な姿勢
と真っ向から反する行為であるという矛盾
がある。

勿論、こういった手法は現実的には様々な議論の場
で常套手段として当たり前のように用いられている
ものではある。しかし、もしその者が正論的な姿勢を
重んじるのであるならば、極力そういった印象合戦の
ような手法を用いることを避け、その内容の充実度
でもって議論に望もうとする態度を取る筈だ。
そしてそれぞれの単語はその印象ではなく、その
言葉が指し示す所のものを相手に提示してみせる
という目的でのみそれを使用する事を心掛けるだろう。

そういう意味で「正論応援団」は正論的教義から
大きくはみ出した存在であり、そのような行為を
意図的に行っている以上、その者は正論の使者
どころか、正論的秩序に於いて戒められるべき
存在でしかない。

つまり、「正論応援団」は「正論」というものの本質
を見誤り、それに対する過度な評価を抱いてしまった
が故に、その自らが生み出した「正論」という単語の
優れたイメージの力に惑わされ、その力に頼りたい
という誘惑に駆られた末、印象補填という「正論的
姿勢」を踏みにじるような行為を行ってしまうという
二重の失敗をしてしまっているのだ。

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ひきこもりという役割を引き受け
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人間について考えてみる。
でも、本当はただの断末魔ブログ。

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