ポジティブ・アレルギー

物事を顧みず、ひたすら自身にとって都合の良い部分だけを見て突き進まなければならない、ポジティブ社会への拒絶反応

黄昏のダークマター

自慢じゃないが、うちは両親の実家、
そして両親共に正規社員でありません。

父方の実家では昔家族ぐるみで自営業っぽいことを
していて、その影響でうちの父も少しだけ
自営業をしている時もありました。

だけどそれで入ってくるお金は雀の涙ほど。

だから、結局主となる収入源は
非正規労働によるもの、要はアルバイト。

つまり、うちは三代続く老舗の下流。

そして私はその老舗の三代目。

そんな老舗の看板を背負い、
癇癪もちの母と人格壊れ気味の父の下で
老舗ならではの英才教育を受け続けた結果、
生まれるべくして生まれた
エリートとしてのひきこもり。

そんなだから、当然厚生年金なんか下りる筈もなく、
(うちの両親はまだその年齢ではないが)
貯金も無いので生活は殆どその日暮らし。

勿論、家は言うまでもなく借家。

尚且つ、今母方の祖母が病院に入院していて、
その祖母と一緒に暮らしていた叔母さんも今
働いていないので、彼女は祖母の年金三万円と
うちの母の少しばかりの援助で生活している。

まあ、向こうは一応家(長屋ですけど)
があるからそれでも何とかなったり、
或いはならなくて時々問題になる。

でも、今こういう問題に直面している人達って
結構居るんじゃないかと思う。

この国が先ず正規社員ありきという前提で
そのシステム作りと運営をしてきた以上、
その枠組みから外れた人間達の生活が
逼迫するのは必然的な成り行き。

だけどメディアではそういう事実を
ずっと隠し続けてきた。

「識者」とかいう種族の人間の頭の中には、
バブル期に借金抱えてヒイヒイ言ってた人間なんて
居ないことになってるみたいだし。

なんせ、ついこないだまで「一億総中流」とか
言ってたんだから呆れます。

ホームレスや非正規労働者をはじめ、
「中流」とやらの枠組みから零れ落ちた人間達は
存在すらしないことになっていたのだから…。

所詮「識者」とか言われる人達の現実把握能力も
その程度のものだということだろう。

確かに彼らは一般人よりも物知りだが、
それと現実把握能力は又別。

頭は良いかもしれないが、その頭の良さは結局、
自身の立場の確保という目的を最優先として使用される。

だから事実なんてどうでもいいし、
むしろそれが邪魔になってくることは往々にしてある。

そういや、元官僚の政治家オバサンなんて未だに
「彼らは自由を求めてフリーターになっている」
みたいなことを言っていたな※1。

余りに馬鹿げた発言だったので、もしかしたら
脳みそだけが八十年代からタイムスリップ
して来たのかと思ったけど、
彼女の場合そうじゃないんだろうな、多分。

それが事実誤認だと分っていながら
敢えてそういう事を言っている。

言わば擬態。

何故なら、問題を認識してしまったら
立場上その問題を解決する義務を負ってしまう。

だから、その問題を認識していても
していない様に振舞おうとする。

でも、枠の中にいる人達はそれで騙せても
枠の外からはそのおぞましい姿が丸見えなんですけど。

それに、そもそも八十年代にも、いやもっと昔から
非正規労働者の問題はずっと存在し続けていた訳で、
今になってその問題が突然現れた訳ではない。

その萌芽は、先ず正規社員ありきという
この国の運営方針が決定したその時点から
既に始まっていた。

でも、誰もそのことに触れようとはしない。

その問題がメディアに登場しない以上、
自身や身近で誰かがそういう問題に
直面でもしていない限りそれを知ることはない。

いや、知っていても立場によっては例の元官オバサン
みたいにそれを隠し続けなければいけない。

その問題を解決しようと思えば、
企業の経営者や正規社員の取り分だって
減る事になるんだから。

だから、それに気付いてしまった人間達も、
「誰も知らない、知られちゃいけ〜ない〜♪」
とデビルマン的隠蔽を施し続けてきた。

 ***

そんなだから、ましてや学校や家庭の問題で
力尽きてワーキングプアにすら成れなかった人間なんて、
彼らにとったら暗黒物質みたいなものなんだろう。

そして、自身が暗黒物質になりかける様な
状況にでも陥らない限り、その存在に気付かない。

でも内容としての暗黒物質は観察出来ないが、
外見の包装紙としての部分だけは彼らにも
観察出来るので、その包装紙だけで勝手に
その内容まででっち上げてしまう。

まあ人間は、何にでも強引に意味付けをし、
それを理解した様な気にならないと
気が済まない性質があるから
仕方がないと言えば仕方がないのだけど。

自分だって、もし何かの偶然で「普通」
という枠組みに引っかかっていたら、
その暗黒物質を確認出来ずに
メディアが作り出した風説に洗脳されて
「ニートふざけんな」とか言ってたかもしれない。

だからこそ救いが無い。

だって結局、誰がどの役割を引き受けるか
でしかない訳だから。

でも、やっぱり濡れ衣を着せられるのは辛い。

我慢が足りないからとか、力を出し切らなかったから
こうなったんだとか言われるともう…。

いや、物事を他人の目で評価しようという感覚が
身に付いてしまっているからこそ辛いのだろうけど。

本当は、別に他人が何をどう言おうと、
或いはそれにどんな評価を下そうと
その事実までもが変わる訳じゃないんだし、
「また何も知らずにほざいてるな」
くらいに思っておけばいい。

しかし、既にその他人の目で物事を評価するという
感覚が血となり肉となってしまっている人間が
それを捨てきるのは容易ではない。

だから、他人から何か否定的なことを言われたとき、
他人の言いなりになった感覚が、
内部から直接無防備なコアを攻撃し始める。

それが苦しいのでその感覚をなんとか
抑えようとするのだがどうしても出来ない。

だから、自分の感覚が依存している他人に
対して怒りをぶつける。

そして今度はそんな自分自身が嫌になってくる。

そうやって、車輪の中を走り続けるモルモットの様に、
不毛な行為を延々繰り返し続ける。

それだけの人生。


ただ、その三代続いた呪われた
下流の歴史ももう終わりだ。

自分がその血筋を絶えさせることで以って
終わらせてみせる。

いや、勿論他にも親戚は居るのでその人達は
またその因縁を引継ぎ続けるのかもしれないが、
少なくとも自分はこれ以上この苦痛の製造に加担しない。

時々、
「もしかしたら、自分はこの忌まわしい因縁を
断ち切る為にこの世に生を受けたのかもしれない」

そんな風に思えてくる時がある。


…人知れずその怒涛の様に押し寄せる苦痛と
忌まわしい因縁を一手に引き受け、ただ一人
黙々とそれを堰き止める役目を果たし続ける。

周りから誤解され、冷たい視線を浴びながらも。

そして今日も、
新たな悲劇をこれ以上生み出さない為に、
彼は誰も知らない密やかな、そして壮絶な
戦いをたった一人で続けるのだった…。

おおっ、なんかヒーローっぽくなってきたぞ。

「黄昏のダークマター 〜孤高のひきこもり

こんなタイトルが付きそうな感じだ。

よし、これからはこういう気持ちで生きて行こう。


※1 勿論そういう生き方自体が問題なのではなく、
一つの統一的な枠組みに収まる事でしか生活の維持が
難しいという在り方や、一旦離脱するとそこに戻れない
という現状、そしてそもそもその多くは枠組みに
収まりたくても収まることが出来なかったのだ
という事実を押し隠すことが問題。

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ひきこもりという役割を引き受け
ざるを得なかった一人として
人間について考えてみる。
でも、本当はただの断末魔ブログ。

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