ポジティブ・アレルギー

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京大には公安警察の特権が優遇される治外法権などない

私服警官、京大でつかまる 大学「通告なく立ち入り遺憾」 : 京都新聞

 4日午後0時20分ごろ、京都市左京区吉田二本松町の京都大吉田南構内で、京都府警の男性警官1人が学生とみられる男性に取り押さえられる騒ぎがあった。大学関係者も加わり話し合った結果、警官は約3時間後に大学を退去した。

 府警の説明では、警官は極左暴力集団などの犯罪捜査に当たる警備2課の巡査部長で別の捜査員とともに私服で勤務中だった。構内では、2日に東京都内でデモ行進していた京大生が警視庁に公務執行妨害の疑いで逮捕されたとして、抗議活動が行われていた、という。(中略)

 京大は、警官が大学構内に立ち入る場合は府警から事前に通告を受け、大学職員か学生が立ち会う取り決めにしているという。杉万副学長は「事前通告なしに立ち入ることは誠に遺憾。事実関係を調査し、府警に申し入れをする可能性もある」としている。

 府警は「捜査の内容や構内に立ち入った経緯は明らかにできない」とした上で、「捜査の都合上、大学への通告なしに構内に立ち入ることはある。捜査員から事情を聴いている」としている。警官が構内にいる間、京大付近に一時、数十人の機動隊員を乗せた車両が待機した。


この件において、京大はいつから治外法権になったんだ、と大学側を非難する者が多数見受けられた。だがそういう理由で京大を非難するのは全く的外れだろう。

▼日本国憲法 第三章

[住居の不可侵、捜索・押収の要件]

 第三十五条① 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、題三十三条の場合を除いては、正統な理由に基づいて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する礼状がなければ、侵されない。

② 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する格別の令状により、これを行ふ。

[逮捕の要件]

第三十三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。


当たり前の話だが、警察が令状もなく、また現行犯を追っているわけでもないのに、許可も得ずに勝手に私有地に侵入したら、それが違法行為になるのは言うまでもない(学祭の場合、公務でなければOK?)。京大には、京大の独自法が日本の法律より優遇される治外法権などないが、公安警察の独自法が日本の法律より優遇される治外法権もないのだ。

そもそも別にこんな法律を知らなくとも、ロシアや中国じゃあるまいし、警察が定められた法的手続きを経ずに急に踏み込んでくるようなことが許されたら、それは相当まずいことである、ということくらいは直ぐに想像がついてもいいはずだ。


▼刑事訴訟法

[現行犯逮捕]

第二一三条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することが出来る。

そして不法行為を行った者がいれば、一般人であってもその者を逮捕することができる。ただし――

[一般人による現行犯逮捕と被逮捕者の引渡し]

第二一四条

検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁もしくは区検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。

とはあるが。

京大を非難し得る争点は、引渡しが「直ちに」行われたか、くらいのものだろう。しかしそれも、そもそも警察側が不法行為を行わなければ端から問題など起きなかったわけで。

この件で注目すべきはむしろ、警察が組織的に違法行為を行った場合、それに対してどう対処すべきか、していくべきか、ということの方だろう。

警察というのは、機能的に見れば国営暴力団だ。しかし、それによる暴力行使が一定の法的制限と手続きに則って行われるからこそ、他の暴力団とは違うものとして特別扱いされることになる。逆に言えば、警察がその制限や手続きを踏みにじってしまえば、それはもうただの犯罪組織でしかない。

そして警察官もまた、あくまでその役割を任されただけの普通の人間であり、そうである以上、性善説は通用しない。必ずしもそのルールを遵守し続けるとは限らない。故に、性善説を採らないならば、システム構築的観点から、警察が単なる暴力団になってしまう可能性を鑑み、それに対する対応策をちゃんと用意しておかなければならない。

実際、未だに転び公妨なんてやっていること一つ取っても、警察組織が現在相当まずい状況になっていることは十分推測できる。しかしながら、強い危機感を持つことの重要性が唱えられ、性善説が鼻で笑われるような昨今にありながらも、何故かこのシステム的欠陥は全く手付かずのままにある(――もちろん、「警察を監視するための組織が必要だ->じゃあその組織は誰が監視するの?」に代表されるように、元々穴埋めするのが難しい問題だからということもあるだろうが、この件のように、その危険性が完全に忘却された上で物事が捉えられている現状がある)。

これは、「危機感を持つことの重要性」や「性善説の否定」は多くの場合において、その内容ではなく、上っ面の装飾部分だけが剥ぎ取られて用いられている、ということを示す証左ではないか(警察が言うところの「極左暴力集団」による危険性があったとしても、それは警察自身が単なる暴力団化することの危険性を相殺しない)。

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