Trio Broz - Solo Violin ファースト・インプレッション&覚書
Fluffy Audioのソロ・ヴァイオリンが中々良い感じ。個人的にはembertoneのものよりも好き。

vi-controlフォーラムの関連スレッド
FluffyAudio: Trio Broz - Solo Violin - RELEASED - INTRO PRICE until the end of May - 30% SALE on ALL OTHER PRODUCTS!
FluffyAudio: Trio Broz Solo Violin
特徴は
・3マイクポジション
・ビブラート・サステイン、ノンビブラート・サステイン、スピッカート、スタッカート、ピッチカートの5アーティキュレーション
・ノンビブラート・サンプルに人口ビブラートを加えることが可能
・4ダイナミック・レイヤー(サステイン)
・4ラウンド・ロビン(スピッカート、スタッカート、ピッチカート)
・クレッシェンドからデクレッシェンド、もしくはサステインからデクレッシェンドへの切り替えが可能
・トゥルー・(フィンガー)レガート&グリッサンド(ポルタメント)
・ヒューマナイズ・チューニング機能
・オート・レガート・スピード・チェンジ機能
・17種類のIRリバーブ付属
・7つのデフォルト・プリッセットに加え、9つの独自プリセットを保存可能
・DCE(DYNAMIC CONTROL ENGINE)によるスムーズなレイヤー移行
マイナス点は
・わりと早い段階で勝手にボウ・チェンジされてしまうことがある(これはレガート・サンプルからサステイン・サンプルに切り替わる際の副作用で起こる)。
・この種のものとしてはかなりドライな部類に入るが、enbertoneのものほどは輪郭がハッキリしていない。
・ハーモニクス、トレモロ、スル・タスト/ポンティチェロなどの奏法がない(トリルもないがこれはレガートでわりとそれっぽくなる)。
・ポルタメント・スピードが調節できない。
・焼きこみビブラートにもより強いビブラートなどもう少しバリエーションが欲しかった。
・ちょっと音が細い。
・デクレッシェンドの長さの調節が難しい。
・デクレッシェンドを使用することによって切り替わりが不自然になることがある、或いは二つのヴァイオリンが鳴っているような状態になることがある。
といったところか。特にppにおいて音がかすれたりノイズが目立ったりすることがあるが、これは原理的に仕方がないことだと思う。
以下はTrio brozの詳細について。
-----------------------------------
▼(1)音について
・レガート
極めて良好。
・ボウ・チェンジ
ノートG1でボウ・チェンジが出来る。
・ポルタメント
ポルタメントの質自体は一級品。ただしスピードが調節できないのと、途中でレガート・サンプルからサステインに切り替わる際に強制的にボウ・チェンジしたような感じになってしまうのがちょっと残念(最後から二番目のみ意図したボウ・チェンジ)。F1で強制的にサステインに戻すタイミングをコントロールすることでちょっとだけボウ・チェンジ感を緩和することができる場合もある。
・トリル
トリルのアーティキュレーションは用意されていないが、レガートで結構それっぽくなる。
・トレモロ
トレモロのアーティキュレーションは用意されていないのでスピッカート&スタッカートで代用。4ラウンドロビンなので全く駄目ということはないがちょっと微妙な感じ。
フランクのヴァイオリン・ソナタ冒頭部分を鳴らしてみたところ。
ビブラートは焼き込みのみを使用したが、基本弱めのビブラートなのでこういう曲ではちょっと物足りない感がある。
▼(2)演奏方法について
CC#1でpp~ffのレイヤーの切り替えを行い、ピッチ・コントロールでクレッシェンド、デクレッシェンド、ポルタメントなどの切り替えを行うわけだが、特に後者のやり方はかなり特殊なので最初は戸惑う。しかし下の画像を見れば何がどうなっているのかがだいぶ分かりやすくなる。

縦が奏法で、横がスタート -> レガート -> エンドと時間の流れを表している。
★スタート
ピッチの値が中央の状態で音を鳴らす -> 普通のサステイン
ピッチの値が中央より上の状態で音を鳴らす -> アクセント
ピッチの値が中央より下の状態で音を鳴らす -> クレッシェンド
★レガート
・サステイン/アクセントが鳴っている状態のままノートオフにせず他のノートを鳴らす -> レガート
・サステイン/アクセントが鳴っている状態のままピッチを中央より下に下げて他のノートを鳴らす -> ポルタメント
・クレッシェンドが鳴っている状態のまま他のノートを鳴らす -> ポルタメント
・クレッシェンドが鳴っている状態のままピッチを中央かそれ以上に上げてノートオフにせず他のノートを鳴らす -> レガート
★エンド
ピッチが中央かそれ以上の状態でノートオフ -> リリース・サンプル
ピッチが中央以下の状態でノートオフ -> デクレッシェンド
※ピッチの値が低いほど余韻が長いデクレッシェンドになる。
※ノンビブラートからデクレッシェンドやポルタメントを鳴らした場合、それらのサンプルは共通のため、ビブラート・アマウントがゼロでも自動的にビブラートが掛かることになる。
▼(3)ユーザーインターフェイス
<Sound画面>

「C/M/F」項目では、クローズ、ミッド、ファーの3種のマイクの音量をコントロールできる。
「Silkener」はEQで高音を削り、音色に暖かみを与えるめのパラメータ。
その下の「mw control」は「Silkener」とCC#1のダイナミクス・コントロールを同期させる際の設定。「max」側に設定するとCC#1の値が上がると同時に「Silkener」のパラメータも同期して自動的に増加する。この際、「Silkener」の設定値が基点となり値が増加する。逆に「min」側に設定するとCC#1の値が上がると同時に「Silkener」のパラメータも同期して自動的に減少する。同期させたくない場合は中央値に設定しておく。

リミッターやサチュレーションも同じように同期させることが出来る。「Reverb」では17種のIRデータが選択可能。もちろんオフにすることも出来る。
<behavior画面>

この画面では、サステインからレガート、そしてレガートからサステインにサンプルが切り替わる際のクロスフェード・タイムを調節できる。調節はビブラートとノン・ビブラート其々別個に行える。
ノン・ビブラートではビブラートに関する設定もできる。「fade in time」ではビブラートし始めるタイミングを決めることができる。
<control画面>

「velocity --> CC1 on shorts」にチェックを入れておくと、スピッカートやピッチカートなどのショート・サンプルにおいてはCC#1ではなくベロシティでダイナミクスをコントロールをすることが出来るようになる。「Velocity --> start curve」はベロシティ・カーブ関連の設定だと思うが、弄ってみてもいまいち違いが分かりにくかった。
「dynamics smooth time」ではpp~ffのレイヤーが切り替わる際のクロスフェード・タイムの調整が出来る。その上の「mw」項目ではCC#1のどの値でサンプルを移行させるかの設定が出来る。
<compensator>

Trio brozではあるサンプルからあるサンプルへと移り変わる際にそれらがスムーズに繋がるように自動的に音量補正を行うDCEという機能を備えている。そのDCEの設定に関する画面。自分でDCEの設定を細かく調整したい人は色々試してみるといいかも。
<preferences画面>

・「Engine accuracy」 -> エンジンの計算精度の高低
・「Gui refresh」 -> GUIの滑らかさ
・「Tuning」 -> チューニング
・「dynamics volume」 -> レガートの音量の大きさ
・「pp subtle artifacts」 -> pp時におけるレガート音に関する設定。右にするほど人工的でハッキリとした音になる。
・「short transition on pp」 -> pp時におけるレガートの音の移り変わる時間を短くする。チェックを入れた方が歯切れの良い音になる。
***
どのような音楽をやりたいかによって評価は変わってくるだろうが、個人的にはソロ・ヴァイオリンに関しては今のところこのライブラリがベストなんじゃないかと思っている。この後に発売されるチェロやヴィオラにも期待したいところだが、※1ヴィオラはレガートが無いらしいのが残念(その分価格は安くなるらしい)。ヴィオラってそれでいいものなんだろうか。ヴィオラにはスラー・レガート(ポルタメント)が無いらしいのが残念。
※1 【訂正5/31】レガートとスラー・レガートを混同していたので訂正。流石にレガートがないわけないか。【了】

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特徴は
・3マイクポジション
・ビブラート・サステイン、ノンビブラート・サステイン、スピッカート、スタッカート、ピッチカートの5アーティキュレーション
・ノンビブラート・サンプルに人口ビブラートを加えることが可能
・4ダイナミック・レイヤー(サステイン)
・4ラウンド・ロビン(スピッカート、スタッカート、ピッチカート)
・クレッシェンドからデクレッシェンド、もしくはサステインからデクレッシェンドへの切り替えが可能
・トゥルー・(フィンガー)レガート&グリッサンド(ポルタメント)
・ヒューマナイズ・チューニング機能
・オート・レガート・スピード・チェンジ機能
・17種類のIRリバーブ付属
・7つのデフォルト・プリッセットに加え、9つの独自プリセットを保存可能
・DCE(DYNAMIC CONTROL ENGINE)によるスムーズなレイヤー移行
マイナス点は
・わりと早い段階で勝手にボウ・チェンジされてしまうことがある(これはレガート・サンプルからサステイン・サンプルに切り替わる際の副作用で起こる)。
・この種のものとしてはかなりドライな部類に入るが、enbertoneのものほどは輪郭がハッキリしていない。
・ハーモニクス、トレモロ、スル・タスト/ポンティチェロなどの奏法がない(トリルもないがこれはレガートでわりとそれっぽくなる)。
・ポルタメント・スピードが調節できない。
・焼きこみビブラートにもより強いビブラートなどもう少しバリエーションが欲しかった。
・ちょっと音が細い。
・デクレッシェンドの長さの調節が難しい。
・デクレッシェンドを使用することによって切り替わりが不自然になることがある、或いは二つのヴァイオリンが鳴っているような状態になることがある。
といったところか。特にppにおいて音がかすれたりノイズが目立ったりすることがあるが、これは原理的に仕方がないことだと思う。
以下はTrio brozの詳細について。
-----------------------------------
▼(1)音について
・レガート
極めて良好。
・ボウ・チェンジ
ノートG1でボウ・チェンジが出来る。
・ポルタメント
ポルタメントの質自体は一級品。ただしスピードが調節できないのと、途中でレガート・サンプルからサステインに切り替わる際に強制的にボウ・チェンジしたような感じになってしまうのがちょっと残念(最後から二番目のみ意図したボウ・チェンジ)。F1で強制的にサステインに戻すタイミングをコントロールすることでちょっとだけボウ・チェンジ感を緩和することができる場合もある。
・トリル
トリルのアーティキュレーションは用意されていないが、レガートで結構それっぽくなる。
・トレモロ
トレモロのアーティキュレーションは用意されていないのでスピッカート&スタッカートで代用。4ラウンドロビンなので全く駄目ということはないがちょっと微妙な感じ。
フランクのヴァイオリン・ソナタ冒頭部分を鳴らしてみたところ。
ビブラートは焼き込みのみを使用したが、基本弱めのビブラートなのでこういう曲ではちょっと物足りない感がある。
▼(2)演奏方法について
CC#1でpp~ffのレイヤーの切り替えを行い、ピッチ・コントロールでクレッシェンド、デクレッシェンド、ポルタメントなどの切り替えを行うわけだが、特に後者のやり方はかなり特殊なので最初は戸惑う。しかし下の画像を見れば何がどうなっているのかがだいぶ分かりやすくなる。

縦が奏法で、横がスタート -> レガート -> エンドと時間の流れを表している。
★スタート
ピッチの値が中央の状態で音を鳴らす -> 普通のサステイン
ピッチの値が中央より上の状態で音を鳴らす -> アクセント
ピッチの値が中央より下の状態で音を鳴らす -> クレッシェンド
★レガート
・サステイン/アクセントが鳴っている状態のままノートオフにせず他のノートを鳴らす -> レガート
・サステイン/アクセントが鳴っている状態のままピッチを中央より下に下げて他のノートを鳴らす -> ポルタメント
・クレッシェンドが鳴っている状態のまま他のノートを鳴らす -> ポルタメント
・クレッシェンドが鳴っている状態のままピッチを中央かそれ以上に上げてノートオフにせず他のノートを鳴らす -> レガート
★エンド
ピッチが中央かそれ以上の状態でノートオフ -> リリース・サンプル
ピッチが中央以下の状態でノートオフ -> デクレッシェンド
※ピッチの値が低いほど余韻が長いデクレッシェンドになる。
※ノンビブラートからデクレッシェンドやポルタメントを鳴らした場合、それらのサンプルは共通のため、ビブラート・アマウントがゼロでも自動的にビブラートが掛かることになる。
▼(3)ユーザーインターフェイス
<Sound画面>

「C/M/F」項目では、クローズ、ミッド、ファーの3種のマイクの音量をコントロールできる。
「Silkener」はEQで高音を削り、音色に暖かみを与えるめのパラメータ。
その下の「mw control」は「Silkener」とCC#1のダイナミクス・コントロールを同期させる際の設定。「max」側に設定するとCC#1の値が上がると同時に「Silkener」のパラメータも同期して自動的に増加する。この際、「Silkener」の設定値が基点となり値が増加する。逆に「min」側に設定するとCC#1の値が上がると同時に「Silkener」のパラメータも同期して自動的に減少する。同期させたくない場合は中央値に設定しておく。

リミッターやサチュレーションも同じように同期させることが出来る。「Reverb」では17種のIRデータが選択可能。もちろんオフにすることも出来る。
<behavior画面>

この画面では、サステインからレガート、そしてレガートからサステインにサンプルが切り替わる際のクロスフェード・タイムを調節できる。調節はビブラートとノン・ビブラート其々別個に行える。
ノン・ビブラートではビブラートに関する設定もできる。「fade in time」ではビブラートし始めるタイミングを決めることができる。
<control画面>

「velocity --> CC1 on shorts」にチェックを入れておくと、スピッカートやピッチカートなどのショート・サンプルにおいてはCC#1ではなくベロシティでダイナミクスをコントロールをすることが出来るようになる。「Velocity --> start curve」はベロシティ・カーブ関連の設定だと思うが、弄ってみてもいまいち違いが分かりにくかった。
「dynamics smooth time」ではpp~ffのレイヤーが切り替わる際のクロスフェード・タイムの調整が出来る。その上の「mw」項目ではCC#1のどの値でサンプルを移行させるかの設定が出来る。
<compensator>

Trio brozではあるサンプルからあるサンプルへと移り変わる際にそれらがスムーズに繋がるように自動的に音量補正を行うDCEという機能を備えている。そのDCEの設定に関する画面。自分でDCEの設定を細かく調整したい人は色々試してみるといいかも。
<preferences画面>

・「Engine accuracy」 -> エンジンの計算精度の高低
・「Gui refresh」 -> GUIの滑らかさ
・「Tuning」 -> チューニング
・「dynamics volume」 -> レガートの音量の大きさ
・「pp subtle artifacts」 -> pp時におけるレガート音に関する設定。右にするほど人工的でハッキリとした音になる。
・「short transition on pp」 -> pp時におけるレガートの音の移り変わる時間を短くする。チェックを入れた方が歯切れの良い音になる。
***
どのような音楽をやりたいかによって評価は変わってくるだろうが、個人的にはソロ・ヴァイオリンに関しては今のところこのライブラリがベストなんじゃないかと思っている。この後に発売されるチェロやヴィオラにも期待したいところだが、※1
※1 【訂正5/31】レガートとスラー・レガートを混同していたので訂正。流石にレガートがないわけないか。【了】
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