ポジティブ・アレルギー

物事を顧みず、ひたすら自身にとって都合の良い部分だけを見て突き進まなければならない、ポジティブ社会への拒絶反応

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正論を口にしないことと正論の内容を否定することは全く別

杭工事偽装、ベテラン技術者「私もやった」 その理由は

「マンションを売る日は決まっているのに、杭打ちをやり直せば完成が遅れる。元請けにやり直しを求めると『やかましいことを言うな』と言われる」


ディレクターが黒いものを白と言ったら「ハイ、真っ白です!」って返します。(中略)だぁ~れも、そんな正論なんか聞いてませんし、言ったとしても、会社も世の中も変わりませんから。(中略)めんどくせぇヤツだな、と思われたら次の仕事がもらえませんから。素直に従った方が「じゃあ次も」って気になってくれるでしょ
https://twitter.com/tokukichi1/status/657195951187095552


「いじめはよくない」「人の者を盗んではいけない」「人を殺してはいけない」――
こういったことを幾ら言ってみたところで、それらの問題が改善するわけではないだろう。正論とはそういった効果のないスローガンのことを意味する。よってそれが主張として下らないのは確かだ。そんなことは分かりきったことであり、その上で其々がこの現状についてどう考えるか、ということを述べてこそ主張と言えるからだ。
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だが議論の上で正論を唱えるのと、正論で唱えられている内容自体を否定するのは全く別のことである。この二つを一緒くたにして何かを語るなら、それは余りにも乱暴すぎる。正論を唱えないことは、いじめや強盗や人殺しを許容することではないのだから。

ここでもそういった乱暴な形での語りが行われている。実際ここで鈴木氏が述べているような振る舞いを建設業で行ったら、杭工事偽装やむなし、ということになるだろう。

そしてこの社会が、そうした振る舞いをする人や企業ほど競争に勝ち残りやすい構造になっているとすれば、それはまさに大規模な市場の失敗が起きていることを意味する。

もちろん「市場の失敗を起こすべきでない」という正論を唱えることに意味は無い。だが今実際に市場の失敗が起こっているということを認識し、その問題に対処しようとすることは重要だろう。

しかし昨今はどうも正論の下らなさを根拠にしてその「対処」までもを否定するという、正論以上に下らない主張が幅を利かせているように思えてならない。

それからこのツイートでは鈴木氏の発言を「「お笑い芸人だけどこんなに政治に関心持ってますよアピール」が一切なく」と評価しているが、目上の者や趨勢を批判するのが政治なら、目上の者や趨勢の肩を持つのも政治である。よってむしろこれは極めて政治的な発言と見るのが妥当だろう。

 ***

この記事を見る限り、恐らくこの芸人はある種のヒールのような存在として活躍しているのではないかと推測する。ヒールが憎まれ口を叩くのは当然である。しかしながら、その単なる憎まれ口に何か深みがあるかと言えば、そうではないだろう。

何も考えず上の者の言うことにホイホイ従っていたらそれだけで大金が手に入るような状況が手に入れば、大抵の者は彼と同じことをしてしまう。だがそれは体裁上余り表立って肯定することができない振る舞いでもある。それを体裁を気にする必要がないヒールが堂々と肯定してみせたことが、同じくそういった状況でそういった振る舞いをしている者達の自己肯定感を刺激し、ウケているに過ぎない。

もちろん鈴木氏個人の中では、ヒールとして生きることへの強い葛藤を乗り越えた末の、それなりに重みがある発言なのかもしれない。だが主張の内容としては全く深みのないものである。そこら辺は理解しておく必要があるだろう。

そしてこれは逆に言えば、そういう状況にない人が、つまり十分な見返りを期待できない人達が上の者や社会に文句を言うのは当然である、ということをも意味する。全ての者が鈴木氏のように経済的に恵まれた状況を手に入れられるようにすべきだ、という正論が通じないのと同じように、「社会に文句を言わず前向きに生きろ」などという正論もまた通じないのである。

あとこの人は「世の中のほとんどの人に異論を述べる資格なんてないんです」とも言っているが、主張を行うのに資格を設けない、というのは民主主義の大前提なので、これは民主主義を否定する発言に他ならない。近代国家において、まともな人間として見られようとすれば決して口にすることができない様な主張をこうも事もなげに言ってしまう辺り、さすがヒールである。

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Author:後正面
ひきこもりという役割を引き受け
ざるを得なかった一人として
人間について考えてみる。
でも、本当はただの断末魔ブログ。

働けど無職。
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※コメントは記事の内容(主題)に関するもののみ受け付けています。また、明らかに政治活動的な性質を持つ内容のコメントはお控え下さい(そういった性質を持つ発言は、それを許容するような姿勢を持つ一部のブログを除いて、自分のブログで行うものだというのが私の基本的な考え方です)。

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